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ザ・プロムのalmosteverydayのレビュー・感想・評価

ザ・プロム(2020年製作の映画)
3.5
予告編がド派手かつハッピーだったのに加え、キャストがえらい豪華ってことで楽しみにしてました。冒頭の採決シーンからブロードウェイの狂騒までを一気に駆け抜けるテンションの激アゲっぷりときたらもう、まさにつかみはOKって感じ。そう、これよ。こっちが呆気にとられるくらい圧倒的なエンタメを欲していたのですよわたしは…!

序盤はブロードウェイ組の傲慢さや浅薄さ、田舎を見下す鼻持ちならなさがこれってなかなか露悪的じゃね?ってほどあけすけに描かれるもんで、田舎生まれ田舎育ちの身としてはいちいちイライラさせられ通しだったんですよね。しかし、各々の生い立ちや辛い過去が描かれ、プロムにまつわるあれこれを経て、綺麗さっぱり改心するのではなくクセの強さをちょっとくらいは残したままで前に進んでいく展開が良かった。いろんなことがいつの間にか解決してたりうやむやになってたり、はたまた力技で大団円に持ち込まれたりすることがわりとあるあるだったりするミュージカルにおいて、各人のエピソードをきっちり拾いつつ歌で伏線回収するっていうのはなかなか気持ちいいものだな、と思いました。

とりわけ心にグッと来たのはクライマックスでも何でもない、校長がディーディーに思いの丈を語るシーン。彩りに乏しい現実から逃れるため、懸命に働いて日々をやり過ごしてブロードウェイに通うのだ、と目を輝かせるあの人はそのままそっくりわたしとおんなじだ。そう思ったら泣けて泣けて仕方なかったのです。この物語を今日的なものに仕立てるには、保守的で後進的とされる田舎町のハイスクールにあのキャラを配することが欠かせなかったと思う。進歩的な思想を持ち、教え子の幸せを願い、勤勉にして趣味嗜好を心の拠り所とする…って何それ最高じゃないですか…!わたしもそんなひとになりたいよ。

細かいところをやいやい言うなら、キャスト全員歌い踊れて当たり前のミュージカルシーンはともかくとして、エマがガチで歌える勢だってことには序盤でさっくり触れといてもよくね?って思いました。それとアリッサのママは絶対あんなもんじゃねえぞもっとずっと手強いぞ現実には。他にもいろいろ言いたいことはあったような気がするけれど、ニコール姐さん登場シーンの格好良さを反芻してたらもろもろどうでもよくなってきました。ほんっと最高な!
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