ケイスケ

Mank/マンクのケイスケのレビュー・感想・評価

Mank/マンク(2020年製作の映画)
3.6
正直、『市民ケーン』以外のハーマン・J・マンキーウィッツの他の脚本作って観たこと無かった。しかしオーソン・ウェルズは25歳で市民ケーンを撮ったのかー。

社会を鋭く風刺するのが持ち味の脚本家・マンクは、アルコール依存症に苦しみながらも新たな脚本と格闘していた。それはオーソン・ウェルズが監督と主演などを務める新作映画『市民ケーン』の脚本だった。しかし彼の筆は思うように進まず、マンクは苦悩する。

市民ケーンの裏側を描くという触れ込みだが、これは『ハドソン川の奇跡』の原題が『Sully』であるようにマンク=マンキウィッツの男の人生を描いたように感じた。同じ脚本家ということでジェイ・ローチ監督の『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』を思い出しました。あの映画も良かったですね。

やはり市民ケーンを観ていることは必須だと思う。じゃないと劇中で出てきたフェイクニュースやバラのつぼみの意味が分からないかも。加えて監督のオーソン・ウェルズやハーマン・J・マンキーウィッツ、ジョーゼフ・L・マンキーウィッツなど主要人物や市民ケーン制作の裏側をある程度、知ってる方がより楽しめるでしょう。

まあ自分はというと市民ケーンを昔に2回くらい観ただけなので、はっきり言ってよく分からない部分もありました。それでもデヴィッド・フィンチャー監督のテンポが良い会話劇は楽しめるし、役者陣、特にマンク役のゲイリー・オールドマンはさすがの演技力ですね。

市民ケーンの構成を利用している作りも面白いし、カットが切り替わる時にご丁寧にフィルムチェンジのパンチ穴を入れてくるのは少し笑った。フィンチャー監督のフィルモグラフィーの中で一番という作品では無いと思いますが、やりたいことは成功してるしNetflixで作られる意義が間違いなくある作品だと思います。面白かった!