この映画は意地悪だ。
映画の中に答えがない。
自分で考えろということか。
映画のポスターが物語る。4人の顔は反面しか見えない。誰もが色んな面を持っている。
そしてルースはふたつの名前を持っている。
アフリカ、エリトリアの少年兵だったルースを養子にしたアメリカ人夫婦。夫婦仲も良く、リベラルな白人という感じ。
高校生ルースは文武両道の優等生。おまけにカリスマ性もある。学校でも家庭でも自慢の学生であり息子だ。
オバマ二世とか言われるだけあって、笑顔がオバマによく似てる。
だけど「アメリカでの成功者の象徴」という存在にルースは嫌気が差しているよう。
黒人女性教師ウィルソン。オクタビア・スペンサーの存在感がじわじわと迫ってくる。
成功者かそれ以外かで区別する、ステレオタイプの彼女の考え方に疑問を持ち、課題のレポートをきっかけに対立してしまう。
ルースが過激思想に染まっているのではないかという疑念は次第に両親にも。
静かな心理サスペンスに、目を凝らして見るけど、確実な答えがないまま映画は終わる。見終わってからも考えが頭をめぐり、しばらく椅子から立ち上がれない。