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シン・ウルトラマンのefnのネタバレレビュー・内容・結末

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

 脱/構造主義として言いたいことはまぁいろいろとあるだろうけれど、喪われかけていた邦画の技巧(岡本、実相寺)や性癖(成田)を凝縮し観せてくれただけでも良しとすべきではないだろうか。単に記号を組み合わせたスタイルなら兎も角、テレビと映画の時代/手段/表象/構成/台詞といった垣根を飛び越えて組み合わせた結果として、この作品に辿り着いているのだから、それを貫いていること自体は評価してもいい。
 それに批判すべきはその配分であってスタイルそのものではない。これが「雑多」な「消費」だというならゴダールだって十分に消費だろう。気狂いピエロをフランス「文化」の表象として観るのはよくて、これはローカルチャーだからだめ、というのは意味がわからない。
 あとベルイマンのフェティッシュはよくてウルトラマンは幼稚だからよくない、というのも全く的外れではないか。そもそもオリジナルのウルトラマンはローポジから曲線を舐めるように撮るようなことはしていない。この映画の「スーツ」が性癖に見えるなら、それだけでこれは作家の作品として成功しているといえる。それでもだめなら同じ角度からベルイマンを批判するなり差別化する議論すべきだろう。
 個人的に前作に引き続いて執拗にカットバックを拒絶しカットインによる台詞の強調、ショルダーショットの反復で会話に見せかけた「説明」をしているのは気になる。正直、ショット同士がつながっていないから一本の映画に見えない。台詞があるから筋が通っているようなもので、動画としての満足感がない。前作とは違いチームの一員として活躍しているのだから書類越しに会話などせず、一度くらいは目線を交わしてほしかった。そうすれば「バディ」や「人間関係」とやらも目で観えるようになったのではないか。
 そういえば脚本はグレッグベアの影響がかなりあるようで……インターステラーといい、シフトアップを手軽に使える良い時代になったもんです。
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