ふたば三十郎

1917 命をかけた伝令のふたば三十郎のネタバレレビュー・内容・結末

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

素晴らしい。
作品の内容やテーマもいいけど、なによりその“作り”が素晴らしい。

作り手側の映画への愛、同じく映画を愛する人たちへ一緒に映画を楽しもうという“作り”。
まさに映画愛に満ち溢れた映画。

言ってしまえば本作は、作り手側が如何に気付かれないようにカットを重ね、対して観客側はどこで切ってるかを如何に見抜けるかの、究極のインタラクティブムービー!

「ワンカットにこだわった」と監督自ら宣言しちゃったところから、既に本作は始まってる。
これで餌撒きは完了。
自分は既に監督の術中にハマってたんですわ!笑

こちらはノーカットに期待し劇場に向かい、鑑賞中も緊張感が漂い感嘆もする。

が、途中、分かりやすく暗転しカットが切れる場面がある。

あれ?と思うが、同時にもしかしてと思う。
そう、監督は一言も全編ノーカットとは言っていない。
そう言えばそれまでの違和感というか、疑念を感じたカットを思い出す。


もしかして今までもやっぱりノーカットじゃなかった…?


そう思った瞬間ニヤつき止まらず、思えばあそこも不自然やったとかこっちのテンションMAXなのにどんどん物語は進んでいくから先の方が気になって思い返す暇もない。
そして物語は最初のカットと同じ構図で終わる…

こんなん絶対二回観に行きたくなるやつやん!笑

内容的には、伝令というアナログゆえの過酷さと重要性に反してその無意味さも問う、ある種反戦映画的なメッセージ。
また伝令者自身がその内容に影響されたり、どんどん色んな人の人生を背負い込んで進んで行くところとか、広く万人に受け入れられるテーマであると思う。

が、それ以上に映画ファンは楽しめること間違いなしの、これぞ映画!

『カメラを止めるな』は低予算と話題性先行のテレビ企画のためワンカットに挑まざるをえないクリエイター達の汗と涙に感動するけど、本作は一流のスタッフとキャストによるワンカット風な映画的なお遊びに酔う、まさに通好みの一本。
☆☆☆☆