モクゾー

1917 命をかけた伝令のモクゾーのネタバレレビュー・内容・結末

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

これはすごい。プライベートライアン以来の衝撃!

サムメンデスが神がかっている…
映画の構造は至極明確。戦火の中の目的地に伝令を届けるというミッション。こんなシンプルで映画的魅力に飛んだ構造は、マッドマックス怒りのデスロードで感じた「行って帰ってくる!」というストーリー以来ではないだろうか。そう、映画は目的に向かってただ邁進してくれればよいのだ!笑

撮影技術の凄さは言うまでもなく、その(擬似)ワンカットであることにちゃんと理由があるのがよい。
現実時間とは異なる体感時間…これをこの映画は率直に体感させてくれるのである。
(映画はそもそもそういう媒体なのだ。それを逆手に取ったのがドラマ24だと思うが、ここでは語る時間はないなァ…)

極限の緊張と集中をしている中で、戦時中1日の意識はまさに二時間ぐらいに圧縮されるのだろう。これは、プライベートライアンで見た上陸作戦の、目的地がこんな近いのに中々たどり着けない…と言う苦しさがもたらす体感時間の延長の逆ではなかろうか?(あのシーン、本当に長く感じて辛かった)

主人公が圧倒的弱者の立場というのもよい。向かってくるやつをことごとく迎え打てるならば、ありがちな痛快アクション映画になるのだろうが、こっちはあくまで一人(二人)の伝令。相手に見つかれば一方的にやられるという無力感は、映画を観るしかない観客の緊張と重なる。


また役者も非常によい。ほんの少しのスパイスとして出るあの名優たち…この使い方もまぁ上手くて、憎い。あんなポイント登板にもかかわらず、気が抜けてしまわないのは、両者の技量の賜物だろう。

メタを意識させる映画ではないのに、これほど映画館という媒体での"体験"を活用したこの映画は素晴らしい。

是非、映画館…特にIMAXでの観劇をお勧めしたい。