とりん

1917 命をかけた伝令のとりんのレビュー・感想・評価

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)
3.8
2020年6本目(映画館4本目)

近年の007の監督として知られるサム・メンデス監督の最新作。
元より全編ワンカットと話題になっていた作品で、アカデミー賞でも映像系はもちろん作品賞、監督賞などでもノミネートされた作品。
映像がすごいとは聴いていたので、まだ鑑賞してなかったけど、視覚効果や撮影賞を受賞したのは順当かなと思っていた。
そして実際映画を観てみたら予想していたより没入感があった。

とにかく臨場感があり、今回通常上映で観たが、IMAXなどの映像や音響の良い環境で観たら、さらにそれが体験できたと思うと少し失敗したかなと思ったり。
自分も一緒に戦場に立ち、彼らと同じように任務を共にこなしながら、戦場を駆けているような気持ちになる。
銃弾飛び交う場面ではもちろん手に汗握る
全編ワンカットだから手ブレなど酷いかな、映像酔いとかしたりするかなと心配もしていたが、そんなことは一切なかった。
これまでも全編ワンカットのヴィクトリアやワンカット風のバードマンなどを観てきたがそれよりも臨場感あったし、ハードコアのようにワンカットPOV的作品よりもそこにいるという没入感はあった。
そういった類の映画では群を抜いて素晴らしかった。

ストーリー的には大切な指令を戦争の前線へ伝えるために死線を潜り抜けていくという、ヒネリもドラマそこまでない。
むしろそこが込み入ってないからこそここまでのものができていると言える。
戦争映画でこれができるという現代の技術とそれを実現したサム・メンデス監督、撮影監督のロジャー・ディーキンスの圧勝だろう。
007の頃から映像構成が好きだったし、すごいなとは思ってたけど、ここまでのものを作れるとは。
歴史的にも刻まれる作品だと思う。

ただワンカットゆえにこの映画自体の説明は一切なく、話の流れや舞台説明、状況などあらゆるものは自分で汲むしかない。
タイトルからある通り第一次世界大戦の話であろうことはわかっていたが、ワンカット以外の前情報を一切持ったなかったから、もう少し情報持っていけばよかったかなとも思ったり。

はじまりへの旅以来に観た主役のジョージ・マッケイもなかなか良い演技してた。
といあかワンカットだから失敗が許されない120分のすべての演技をこなすのは感服する。
ちゃっかりコリン・ファースやベネディクト・カンバーバッチがチョイ役とはいえ大事な役どころで出てくるのもよかった。
個人的には没入感は確かに凄かったが、もう少しなんかあったらという気持ちとやはりストーリが弱い、ワンカットいいが、やはり編集して組み上げた方が好きだなと気付かされたりと終わってなんとも言えない気持ちになった。
とりん

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