消費者

ワーニング その映画を観るなの消費者のネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

シナリオの締切に迫られる新人映画監督、パク・ミジョンは観客の半分が席を立ち1人は心臓麻痺で死亡したという曰く付きの映画「暗転」の話を耳にする
事件後に事情聴取を受けた監督が「自分ではなく亡霊が撮った」と語っていた事に興味を惹かれ、ミジョンは自分の作品のヒントになるのではないかと「暗転」について調べていく
そしてとうとう監督とコンタクトを取る事に成功するが彼女もまた怪奇現象に見舞われていく
というあらすじ

「サイコだけど大丈夫」でも注目を集めたソ・イェジ“ヌナ”の主演作品という事で鑑賞
最近は男性関係で色々あったがやっぱり好きな女優さんだなぁ、と
作品の評判はあまり良くない様で確かに心霊物ならではの恐怖をちゃんと描けてはいなかったが韓国映画らしい不穏な空気感やしっかり作り込まれた画は悪くないと思う
ただ既に他の方のレビューでも言われている通り、映画の撮影中に火事によって死んだ女優であるスミンの霊が物理攻撃ばかりする点は残念だったかな…
キャスト的に映像的にもそこまで低予算という訳でもなさそうなのでポルターガイストや呪いをメインにしていたら化けた作品だと思う
物理攻撃メインのままなら心霊よりは映画を観た人間が気に触れて狂気に呑まれ暴走していく展開にすればもっと怖くなってたんじゃないかな

あとは肝心の亡霊であるスミンのビジュアル
火災で死んだという設定なので顔が焼けただれているのは当然だし悪くないんだけどそれならそれでもっとグロい見た目にすべきだったと思うしそれこそ「コンジアム」の亡霊の様なおどろおどろしさを前面に出していればもっと怖かったろうに…という残念さはあった
まぁあそこまで怖くされると自分が耐えられるか微妙なんだけどw

ジャンプスケアが乱発されていなかったのはジメッとした世界観を描く上で正解
でも分量はちょうど良くても驚いた後に冷静に亡霊を見られてしまう余分な時間があったのはビジュアルがそこまで怖くないのでダメなんじゃないかなぁ…

ラストでは結局ミジョンは生き延びて亡霊スミンの撮った映像を編集し自分の作品として公開するのだが観客の死亡事件を引き起こした以前の監督、キム・ジェヒョンの時とは違い大絶賛される
このオチがまたどうなのかなぁ…と
ミジョンもまたスミンの呪いに呑まれて正気を失った、という事を示す彼女の微笑みで終幕するんだけどそれじゃ呪いが呪いとして機能してないじゃん、というツッコミ所が出て来ちゃうんだよね…
更なる呪いの連鎖を匂わせる様に観客の誰かが呪われたのを示唆する様なエンディングにして欲しかった

ミジョンとジェヒョンの過去が重なる描写や「暗転」が撮影された映画館の廃墟に入ると映画の中の次元に呑まれてしまう展開、絶妙に恐怖を煽る音などは魅力的だった
ジェヒョンがいじめられて入院している時に「エクソシスト」を観て「怖いのに現実を忘れて感動に震えた、自分もそうやって辛い思いを忘れさせてあげられるホラー映画が撮りたい」と思ったというセリフも印象的
何より映像全体や役者陣の演技がちゃんとしてるのでB級映画にはなっていなかったしそれなりに楽しめた

ソ・イェジ“ヌナ”の主演作で言うとドラマにはなるけど「SAVE ME」が胸糞な名作なので彼女が気になった人には観て欲しいですね
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