ベイビー

ハリウッド 1969 シャロン・テートの亡霊のベイビーのレビュー・感想・評価

3.5
もう一つの「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」。

昨年、シャロン・テート事件のことを何も知らずに、タランティーノ作品だからだという理由のみで「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」を観に行き大失敗。もちろん映画としては楽しめたのですが、初見で作品の核心に触れれなかったことに「もっと予習しとけば良かった」と、つくづく後悔しました。

また、先日観た「ホテル・エルロワイヤル」も、この事件を下敷きにした物語の構成になっていたので、益々事件に興味が湧き、ことの真相に触れるため今作をレンタルしてきました。

"私達が見るもの、見られるもののすべては、夢の中の夢なのか?"

という、エドガー・アラン・ポーの言葉から始まる今作品。それはこの事件が、"夢の都ハリウッドの悪夢"だと言っているのでしょうか? それともシャロンが見た"夢"の話を指しているのでしょうか?

この作品の冒頭で、シャロンは不思議な夢の話をしています。事件から一年前のインタビューで彼女は、「夜中に不審な音で目が覚めると、小さくて怪しい男の姿を見かけました。恐る恐るその怪しげな男の影を追ってみると、リビングで首にロープを巻きつけられ、ナイフで喉を裂かれて倒れている、自分と二人の友人の姿を見つけました」と語っているのです…

このにわかに信じがたい予知夢のような不思議な話。でもこのインタビューの話は実際にあったそうで、このインタビューをもとに、今作の構想が生まれたとのことです。

今作は評価が低く「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」と比較されていることもあるのですが、あまりにも大胆な脚色が、"シャロン・テート事件への冒涜だ!"。などと色々叩かれているみたいです。あと、邦題の付け方が気に入らないとか。

邦題については同意しますが、あの事件の脚色を「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」では良くて、今作はダメだと言っている理由が僕には分かりません。もちろん作品の出来としては、圧倒的な差はあるにせよ、作品を通して伝えたいことは、どちらもさほど変わらないと思うのです。

僕としてはシャロン・テート事件の概要や詳細が分かれば良かっただけなので、この作品はそれはそれで普通に楽しめました。シャロン目線でこの事件に触れれただけで満足でした。

ちなみにこの後直ぐ「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」を再視聴。やっぱりある程度知識を付けた方が何十倍も面白かったです。

僕としては、あまり予備知識を入れずにフラットな状態で作品を楽しみたい方なのですが、作品によっては知識を付けることもそれなりに必要なんですよね。今回改めて学びました。
ベイビー

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