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娘は戦場で生まれたのQvQのレビュー・感想・評価

娘は戦場で生まれた(2019年製作の映画)
4.0
なかなか言葉が見つからないです。こういう場所で生き抜こうとする人たちがいるというだけで衝撃だし、映像は目を覆いたくなる場面だらけで見ていて辛いけれど、それでもなぜかこれを最後まで見ないわけにはいかないなという気持ちが湧いてくる作品だったように思います。

それは何故だろうとずっと考えていたんだけど、それはこの映像を撮った彼女とそのご主人の清々しいまでの想いに共感出来たこと、それと生まれてきたサマちゃんに生の輝きのようなものを感じたこと、そんなことからなのかなと。それと同時に、アレッポの人が意外なほどみんな明るくて、なんて言うか「普通」の感覚で暮らしたりしていて、ただニュースで報じられてるのを見てた感覚とは全然違ってたというのも大きかったのかなと思いました。

まあ、正直なぜみんなここまで落ち着いてられるのか、いや落ち着いてなんかはいないんだろうけど、冷静というか、客観的と言うか、信念があってのことなのかなとは思うんだけど、空爆の破裂音とか血塗れのケガ人死人を日常的に感じつつ暮らせる感覚が凄すぎて、私にはとても気持ちがついていけない部分も多かったです。

でもそれと同時に、みんな欲しい幸せは同じなんだな、ってのはとてもよく感じられました。それが叶わないところで暮らしている人たちの無念は如何ばかりかと思うととてもやりきれなかった。

ネタバレになるので言わないけど、できれば最後まで目を逸らさずに見れたら見て欲しいです。親として子を危険に晒すことには賛否あるかもしれないけど、決死の覚悟でカメラを回し続けた若いジャーナリストの母親には私は否定的な言葉を言う気にはなりませんでした。

紛争や戦争が終わって、今苦しんでいるたくさんの人が少しでも早く平和に暮らせるようになりますように!

こういうの見ると自分の無力を感じることが多いけど、奇しくも米大統領選挙が行われたばかり。どんな人を自分の国の代表に選ぶのか。小さな力も集まれば世界を動かすことにはなりますよね。そういうことを今一度考えることくらいは、誰でも出来るんじゃないでしょうか。
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