コンテナ店子

娘は戦場で生まれたのコンテナ店子のレビュー・感想・評価

娘は戦場で生まれた(2019年製作の映画)
4.0
 よくこんな映像取れたなと思うくらいに身近な距離で爆弾や銃が使われていて衝撃を受けました。目の前で普通に食らったら死ぬほどの攻撃が起こっているところや、命がけで逃げ惑っていてカメラが明後日の方向を向いているところが多く、ドキュメンタリーですが完全に行き過ぎていてホントの話と考えたくないレベルでした。
 また、インタビューシーンも素晴らしかったです。出ている人が伝えたいことを全く説明臭くなく話していた上に、撮影がハンドカメラでブレさせながら撮っていたので、衝撃的な話にもリアリティを感じられるようになっていたと思います。周囲の風景や被害者の傷なども一切隠さなかったのも個人的には好きです。

 さらに、この映画の素晴らしいところは、そのメッセージ性が戦争で傷つけることはいけないということだけでなく、傷つけられる市民たちの問題についても取り上げていたところです。大体のドキュメンタリーは制作側から見てけっこう敵味方がはっきりすることが多いですが、この映画の主役となっている街に残った人たちも完全に被害者なのかと言われると疑問を持ってしまうことが多々ありました。そのため、戦争映画の切り口としてかなり新鮮味があると言えるでしょう。

 唯一好きじゃなかったところを出すとしたら、冒頭20分くらいが少し退屈したくらいです。戦争に入る前のバックボーンの紹介ですが、それがあまり上手くなかったです。様々な行動を主人公がしていましたが、その動機が不明瞭だったと思うので、興味を持ちにくかったです。

 今まで見たドキュメンタリーの中でも最上位に入るほどのぶっとんだ映画なのは間違いなく、こんな作品を作って公開にこぎ着けただけでも十分すごいと言えるような作品です。
 メッセージについて色々考えさせられる点においてもドキュメンタリーが好きな人には絶対におすすめできると思います。
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