あすとろ

ディック・ロングはなぜ死んだのか?のあすとろのレビュー・感想・評価

3.4
この映画を観た後でも「ハメを外したい」と思いますか…?

ジーク、アール、ディックの3人は夜な夜なバンドの練習と偽り馬鹿騒ぎをしていた、だがある夜とある原因でディックが死んでしまう。
警察も殺人事件として捜査する中、唯一真相を知るジークとアールは知られたくない“死因”を隠すため痕跡を消そうと奮闘する。
果たしてディックが死んだ死因とは?というストーリー

とりあえず言わせてください、ダニエル・シャイナート監督は一回各方面から怒られてください笑
ディックの死因、そしてそれに翻弄されるキャラ達の(だいぶ)アホな群青劇は不謹慎ながら笑ってしまった!
A24はようこんな作品作ったなw

本作はディックの死因を探るミステリー物ではありますがビックリするくらいにダークコメディです、本当にビックリするくらい。
シャイナート監督自身笑いに詳しい方なのか、ギリギリ不謹慎で笑えるラインを攻めてくる笑いどころばかりで以前製作した『スイス・アーミー・マン』も一歩間違えれば死体をただ動かしてる狂人になりそうなテーマをコミカルかつポップに取り扱い“死と生”を描いてました。
この映画もディックの“死”を主軸に話が動き、死因を知るまでのミステリーパートと知ってからの後のキャラクター達の群青劇の2パートに分かれてます。
若干、間延び的なのっぺり感はありますがスイスアーミーマン同様「死から生を知る」という根本的なシャイナート監督の軸を感じることができました。
小さい田舎社会で“生きるため”ディックの死を隠す、ディックの死がバレてから“生きるため”それぞれの歩幅で人生を歩み出す。
思考、言動、想像力はめちゃくちゃバカですが、それでも真剣に考えた末の行動なのが愛を持ってるのを感じました(何度も言うように考えはバカだけど)

そして舞台は小さな村田舎ですが実は田舎に住んでいないような人達でも通ずる社会皮肉を感じて、自分の知られたくない秘密が分かった途端急速に広まっていく感じはSNSなどと似ているなと感じました。
田舎社会だからこそ噂話などが瞬く間に広がってしまう、良くも悪くも狭いコミニュティだからこそ起こる事です。
TwitterやInstagramなどでどんなに人数が少ないフォローフォロワーの関係でも何か怪しい話が持ち上がった瞬間拡散される状況とリンクしている感じがして「意図した設定なのかな?」と感じました。

本作はどう足掻いても賛否分かれる作品だと思いますし、100分という比較的短めな上映時間ですが割と長く感じます。
元ネタを知ってれば予想できるかもしれませんが特に情報がなければ、ほぼ予想出来ない死因です!
ただタイトルからある程度どういう路線の死因なのか予測はできてしまうので死因が分かってからの後がノロっとした感じがあるので少し拍子抜けしてしまう方が多いかもしれません。
ですが確実に過去観たどの映画よりも衝撃受けること間違いなし!是非ご覧あれ!
あすとろ

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