とりん

劇場版 SHIROBAKOのとりんのネタバレレビュー・内容・結末

劇場版 SHIROBAKO(2020年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

2020年14本目(映画館6本目)

続編決定してから結構待たされた気がする待望の劇場版が公開された。
テレビシリーズから4年も経つわけだけど、個人的には昨年に一気見したのでそんな久しぶり感はない。
アニメの中でも実際4年経った武蔵野アニメーションが描かれる。

テレビシリーズで通称「三女」が大団円で終わったあれから波に乗ってヒット作を作り上げていったムサニだったが、制作途中の次期放送作が、契約がうまく行かずに制作中断。
本契約を結ぶ前に制作スタートしていたがために、半分以上作っていたのにも関わらず、1円も支払わられることなく、その作品は日の目を見ることはなかった。
負債と不名誉を背負ったムサニからは実力ある人たちがどんどん去っていき、今では下請けを何とかできる少数しか残っておらず、かつての面影は一切無くなっていた。
それでも残り続けていた制作の宮森あおいは、今の会社の現状と、どうしたらいいかわからない悶々とした日々を送っていた。
そんな底辺からの起死回生を目指すというのが今回のお話。

こんな底辺の会社にまさかの棚ぼたで劇場版制作が舞い込んでくる。
しかも安定の期日はかなり短く、長編映画なのに絵コンテも脚本もないタイトルだけ決まっている状態で9ヶ月しかない。
最初は悩む宮森だったけど、元社長の言葉を胸に自分の中で決意を固め、一念発起させる。
かつてのムサニメンバーに声をかけ、みな古巣の起死回生をかけた一手に乗っかりまくる。
結局ほとんどのメンバーが出戻りで、映画も完璧に仕上げての大団円で終わる。

2クールあったテレビシリーズとは違い、120分とアニメ映画では少し長いが、その中ではコンパクトにうまく仕上げている。
制作権が元サヤに取られそうになるなど、ちゃんと山場もあったり、最後にラストをもう一度作り直すというこだわりにために地獄を見るというテレビシリーズでもお馴染みの要素は詰め込まれていたが、後半はいささか駆け足感は否めなかった。
窮地もあっさりくぐり抜ける感じがあった
それでもこれだけの登場メンバーをしっかりほぼ全員描き切るのはすごいと思う。

個人的にはこの作品に脇役ってほとんどいなくて、主要人物5人は置いておいて、サポートメンバーの多さなら他の作品より群を抜いて多いと思う。
それは公式サイトの登場人物紹介とか観たらお分りいただけるはずだ。
劇場版だからこそのあのミュージカル的な魅せ場が一番素晴らしかった。
宮森の堕落な日々からの一転した決意へ向ける転機を示している重要シーン。
SHIROBAKOという要素を崩さず、ムサニの過去作や関係作品のアニメキャラを総出させ、これでもかという演出。
そして今回も制作していた作品、特に今回はボツとなったラスト、作り変えたラストをしっかり対比して流してくれる。
ここから手直し前とどう良くなったか、あれからどれだけの地獄を見たかというのを、制作シーンではなく、制作したアニメから読み取ることができる。
これは省いたのではなく、そういう斬新な演出であるのだろう。
いつかまた一から全部観直したい作品だ。
とりん

とりん