結局カレー

街の上での結局カレーのレビュー・感想・評価

街の上で(2019年製作の映画)
3.8
私が未だ訪れたことのない下北沢のイメージはこうした映画で形作られてきて想像の中でシモキタ文化を読み取る。またこの映画をみたことで下北沢は文化を愛する人たちが恋焦がれる街であるのかなと勝手に私の脳内シモキタが構築されていく。

この作品ではいくつかの恋心が描かれるけど、どれもこれもそんなに共感性が高いものではなくって。浮気されたけど彼女が好き、不倫男しか好きになれない、他の女に告白するための服を買うのに同行させるのに好き、相手に好きな人ができるまで好きでいたい、好きだけど一緒にいて楽しくない...他人からしたら「切り離しちゃえばいいじゃん」で片付けられるような恋が詰まっているんだけど、でもそれって古着屋や古本屋のように誰かにとっては無価値だけど誰かにとっては変え難い価値がついてる”代物”が並んでいるようにもみえてきて正当じゃなくたっていいんじゃんと思わされる。歪んでたり傷んでたり不揃いであったり、そこに意味と価値があるのが恋であり文化なんですかね。くーーー大人すぎるで。そんな不揃いの中にちょこんといたイハちゃん。自然体で地に足ついてるようで自分もまた変わった恋に悩んでるイハちゃんがとても好きだった。あとシンプルにかわいかった。

そう思うと文化ってめちゃくちゃ度量が広いな。寝癖もよれたシャツもふらっと立ち寄ったライブも全部“いいな”に変えれちゃう力があるから。いいなと思える空気感に浸る2時間10分だった。