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十日間の不思議のHKのレビュー・感想・評価

十日間の不思議(1971年製作の映画)
3.3
CS放送のクロード・シャブロル監督特集4本のラスト。
これまでの3本の出演者たちは、地味ながらフランスの実力派といった印象でしたが、ここにきていきなりアメリカのメジャー勢アンソニー・パーキンスとオーソン・ウェルズの登場。
フランス側もミシェル・ピコリとマルレーヌ・ジョベールが出演してますからキャスティングは一番豪華と言えましょうか。

しかも原作はエラリー・クイーンのミステリー(原題:“Ten Days' Wonder”)。
怪しげな大富豪の邸宅を舞台に謎めいた事件が発生、それはやがて殺人事件に・・・
フランス映画なのにシャブロル作品としても初の全編英語の作品とか。
これまでの作品とは一回り大きなスケールっぽくて期待大。
ところが、実は4本目にして初めてちょっと退屈に感じました。

どうも他の3作品と比べ、皆さん演技が芝居がかっており、これまでのシャブロルらしくないというか、この監督、こじんまりした作品の方が合ってるのかも。
パーキンスとウェルズはそれぞれがいかにもすぎる誇張されたキャラ。
この二人、『審判』『パリは燃えているか』『キャッチ22』などけっこう同じ作品に出てます。

屋敷に招待される第三者のピコリが本来の探偵の役回りで、そばかすのジョベールも頑張ってますが、濃いアメリカ勢に押されて、こちらフランス・チームはちょい地味な印象。

でも、恋仲になった富豪の息子(パーキンス)と富豪の若き後妻(ジョベール)が、共謀して富豪(ウェルズ)を殺す話と思わせて、そうはならないのはやっぱりシャブロルっぽい。
まあ原作がそうだからというか、そういう話を選んでいるのかもしれませんが。

ところで驚いたのは、本作では登場人物の一人が飛び降り自殺をして無残に死にますが、それがつい先日観た劇場新作『MEN 同じ顔の男たち』の登場キャラの死に様とソックリ。
尖ったフェンスに串刺しのポーズといい傷口の箇所といい、偶然にしては似すぎてます。
キリストの磔にも似たこの死に様、本作が参考にされた可能性ありかも。
2件
  • ポテト

    クロード・シャブロルの作品...みなさまのレビューを読ませてもらった限りでは自分も楽しめそうな予感がしているのですが。一作も観たことないんです〜🥺 HKさんのオススメの一本は何ですか😆?

  • HK

    ポテトさん 私もシャブロルは、いかにもヌーヴェルヴァーグな『いとこ同士』しか観たことなくて、それ以外に観たのは今回の4本だけなので、 とてもおススメを選べるほど観てませんが(作品は50本以上あります)今回の中では『一寸先は闇』が一番好印象的だったかな。

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前世紀からのウン十年の長期ブランクを経て、2020年以降に初見・再見した映画のみ雑感を記録してます。基本、いいね!をするのは観た映画のみで観たら再訪問。あらすじは一種のネタバレなのでなるべく書きませ…

前世紀からのウン十年の長期ブランクを経て、2020年以降に初見・再見した映画のみ雑感を記録してます。基本、いいね!をするのは観た映画のみで観たら再訪問。あらすじは一種のネタバレなのでなるべく書きません。作品の評価・好き嫌いは人それぞれですが、どんな映画でも楽しんだもん勝ちが信条です。