CS放送のクロード・シャブロル監督特集4本のラスト。
これまでの3本の出演者たちは、地味ながらフランスの実力派といった印象でしたが、ここにきていきなりアメリカのメジャー勢アンソニー・パーキンスとオーソン・ウェルズの登場。
フランス側もミシェル・ピコリとマルレーヌ・ジョベールが出演してますからキャスティングは一番豪華と言えましょうか。
しかも原作はエラリー・クイーンのミステリー(原題:“Ten Days' Wonder”)。
怪しげな大富豪の邸宅を舞台に謎めいた事件が発生、それはやがて殺人事件に・・・
フランス映画なのにシャブロル作品としても初の全編英語の作品とか。
これまでの作品とは一回り大きなスケールっぽくて期待大。
ところが、実は4本目にして初めてちょっと退屈に感じました。
どうも他の3作品と比べ、皆さん演技が芝居がかっており、これまでのシャブロルらしくないというか、この監督、こじんまりした作品の方が合ってるのかも。
パーキンスとウェルズはそれぞれがいかにもすぎる誇張されたキャラ。
この二人、『審判』『パリは燃えているか』『キャッチ22』などけっこう同じ作品に出てます。
屋敷に招待される第三者のピコリが本来の探偵の役回りで、そばかすのジョベールも頑張ってますが、濃いアメリカ勢に押されて、こちらフランス・チームはちょい地味な印象。
でも、恋仲になった富豪の息子(パーキンス)と富豪の若き後妻(ジョベール)が、共謀して富豪(ウェルズ)を殺す話と思わせて、そうはならないのはやっぱりシャブロルっぽい。
まあ原作がそうだからというか、そういう話を選んでいるのかもしれませんが。
ところで驚いたのは、本作では登場人物の一人が飛び降り自殺をして無残に死にますが、それがつい先日観た劇場新作『MEN 同じ顔の男たち』の登場キャラの死に様とソックリ。
尖ったフェンスに串刺しのポーズといい傷口の箇所といい、偶然にしては似すぎてます。
キリストの磔にも似たこの死に様、本作が参考にされた可能性ありかも。