horahuki

ストゥリー 女に呪われた町のhorahukiのレビュー・感想・評価

3.5
偏見への反抗!

男をわざわざ全裸にして片っ端から連れ去りまくる幽霊ストゥリーさんを、女性を見ただけで採寸できる天才仕立て屋な童貞男が「初夜」に誘うインド産コメディホラー。

本作は1990年代初頭の都市伝説を映画化したもの。謎の女性が住人のドアをノックしてその場で殺すという悪霊の噂が流れ、その悪霊を追い払うために「明日来い」とドアに走り書きしていたことに着想を得たらしく、本作では町中の家の生垣?門?のようなところに「ストゥリーよ、明日来い」と書かれている。その走り書きがストゥリーを追い払い、走り書きが消えてしまった家にのみストゥリーがやってくるという本作の設定にそのまま反映されている。

ストゥリーは年に一度、四日間開かれる街のお祭りの時期に現れる幽霊で、夜に男を全裸にして片っ端から連れ去っていく。カーテン越しの朧げな見せ方、ピントをずらした遠景での映り込みからカメラの切り替えによる急接近、長回しの挿入タイミング等々、出現時の演出はオーソドックスながらも的確だった。それでいて、オチに笑いを持ってきたりする遊び心が随所で見られるのはこういったオカルトホラーでは斬新。ずっと怖がらせようと叫び続けるストゥリーさんに「静かにしろ!」って言って、しゅん…とさせるとこ笑った🤣

異国のホラーは街並みの違いも見どころだと思うのだけど、本作の舞台とする街は廃墟のような光景が独特な雰囲気を醸し出していた。夜になると街の明かりがほとんど無くなり、人が住んでる気配を感じさせないほどの静かさに包まれるのが、異界へと変貌したかのような空気感を醸し出していて、ストゥリーが現れる場所としての空間的説得力を後押ししているように感じた。

私は多分インド産のホラー映画を初めて見たと思うのだけど、圧倒的な作品数を誇るボリウッドだから、相当数ホラーが製作されているはずなのに、日本にあんまり入ってこないのは本当に残念…。ただ、ホラー+コメディはインドでは未開拓なジャンルらしく、本作のようなインド産のコメディホラーはかなり珍しいみたい。どんどん入荷して欲しい!!
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