とりん

ストレンジ・アフェアのとりんのレビュー・感想・評価

ストレンジ・アフェア(2019年製作の映画)
3.1
2021年16本目

5年前に死んだ兄を亡くしたフィリップは事故で足を怪我して、実家へと帰ってきていた。そこに兄の彼女だったメリッサがやってきて、ロニーの子を授かったと話す。母は話を受け入れられず動転し、フィリップは真実を知ろう詮索するのだが。

ミステリーチックな作品かと思っていたが、スリラー要素強めな作品だったかな。
霊的な要素で身篭ったのか、はたまた冷凍保存された精子からなのか、そんな少しあり得ない事態が観ている側に予測を立ててくるけど、実際はど畜生による犯行だったという話。あの人以外みんな被害者というオチである。
不運の事故で大切な人を失ったことから始まり、各々が心の傷をかかえ、あるものは前へ進もうとし、あるものはずっと塞ぎ込んでしまったままだった。
フィリップも表向きは立ち直っている風だったが、仲も良く未来も一緒に描いていた兄を失ったことによる孤独感を拭うことはできなかった。だからこそメリッサのことも信じようと思ったのだろう。
メリッサも自分に責任を感じて、ずっと何かにすがろうと生きてきて、そこで身に覚えのない妊娠だったが、神からロニーの子を授かったと思い込んでしまうのだ。

母は自暴自棄のようになり、全てを受け入れられなくなってしまっているし、それに耐えれず家を出た父は業を背負いながらも1番前を向いて生きようとしていた。
それぞれの悲しみや思いが交錯している感じは悪くないが、それ以上もそれ以下もない。
勘当されたメリッサを実の子のように受け入れてくれた老夫婦のビルとゲイルも良い人で、このおっさん怪しいなと思ってたら…ゲイルもがあまりにも可哀想すぎる。
事故が発覚してからは結構読みやすい展開だったものの、一応ハッピーエンドとも取れる丸く収まった結末だけど、この内容にすればスッキリするはずもなく。
誰もが悲しみを背負ったまま、何も知らないメリッサもいつか真実を知るのかと思うとあまりにも心苦しい。
とりん

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