このレビューはネタバレを含みます
フォロワーさんの評価が高いのでつい期待してしまったが、残念ながら自分には合わなかったパターン。
知らない役者さんばかりでどんなもんかと思ったら皆さん演技派。中でも白眉は主人公の娘を演じた新津ちせさん。その歳でシーンに応じてそんなに演じ分けができるのって何、小悪魔なの・・？（新海誠監督のお嬢さんだそうで、既に他作品でも注目されているとか。この先の活躍が楽しみ。）
ただし、どちらかというと映画より舞台向きの妙に分かりやすい演技をする役者が多い気がして、その違和感のせいで感情移入がしにくかった。
そして、子役の活躍を除けば最初から言動に共感し難い主人公はじめ、キャラクターが不快な人物が多く演技が上手いだけにいずれも好感度が低く感情移入できぬまま話が続く。不愉快キャラを一層不愉快に見せる演出も絶妙すぎて、演技の賜物なのか役者の素なのか疑ってしまうほど・・。
肝心のストーリーは、序盤の設定はまあまあ良かったものの、淡々と進行する視野の狭い展開に「あーあ、そりゃそうなるだろうよ」とため息が出る。
やたらトントン拍子に大成功するかと思えば想像通りに窮地に追い込まれ・・・いったいどう始末をつけるのかと思ったら、終盤で一気に雑な回収劇となり、無難にハートフル着地。消化不良感半端ない。
いちいち安易に周囲の意見に惑わされヒステリックな行動に出る妻（主人公）にも終始イライラさせられるばかりだった。
もともと仕事と育児の両立に悩み余裕のなかった彼女の心情に寄り添ってみても、それなら何故あれほど無関心で非協力的な夫に対し、妻側に一方的に非があるような結論に描いたのかが分からない。
何より最悪だったのは無責任なマスコミ取材やネットの誹謗中傷というありがちな展開以前に、それらの引き金となった第三者（諸悪の根源のクズ従兄弟）がヘラヘラしたまま野放しで終わること！！
そんなこんなで散々イライラさせられた挙げ句カタルシスゼロで終わってしまったが、それでも観て損したとは思わない。
何故なら、元ネタとなった実在の人物や事件のその後について確かめるきっかけになり、物事（特にワイドショーネタとして耳目を集めるような事件こそ）は、やはり多面的に状況を鑑みる冷静さと想像力が必要だわな！と改めて自戒できたからだ。
なお、虫恐怖症の方には鑑賞注意なシーンあり。
