great兄やん

わたしの叔父さんのgreat兄やんのレビュー・感想・評価

わたしの叔父さん(2019年製作の映画)
4.0
【一言で言うと】
「“日課”に縛られし日々」

[あらすじ]
デンマーク、ユトランド半島の農村。27歳のクリスは幼少時に家族を亡くしてから、酪農を営む叔父と二人で暮らしていた。早朝に起床し、足の不自由な叔父の世話をしながら酪農の仕事をし、夕食後にコーヒーをたしなむ毎日を送る中、ある出来事をきっかけに獣医になるという夢をかつて抱いていたことを思い出す。さらに教会で出会った青年マイクから好意を寄せられるなど、クリスは人生の変化に戸惑っていた...。

雄弁で、不動なる“日常”ーーー。

もうひたすら“日常”だけを切り取った映画。
一応ストーリーっぽいストーリーはあるのだけどそれも無いに等しく、観る人によっては速攻で眠りにつけるような感じのテイストですが、個人的にはこういった“映像で語る”映画っていうのは白飯が何杯あってもいけるタチなんですよ🤤
...って、他のレビューでも同じこと言ってんな(^◇^;)
まぁそれくらい好きってことです😁

とにかく映像然り、“フィクション”と言うには余りにもかけ離れた描き方にただただ感嘆するばかり。

特に序盤10分あたりは一切セリフがなく、朝起きて、叔父さんを起こして、一緒にパンを食べて、家業である酪農の手伝いをして...と、いわばその家の“日課”というのをまじまじと見せつけられるのですが、そこでの姪と叔父さんの関係性がメチャメチャ良い。
まるで語らずとも意思が疎通しているあの関係...もうこれはキャストとかじゃなく実際に血の繋がった家族なのでは?と思ってしまった😅
(これ後々パンフレットで知ったんですけど、あの二人実際の姪っ子と叔父さんなんですね(・・;)…)

それに叔父さんのキャラがとっても微笑ましく、姪っ子のデートに叔父さんが着いてきちゃうシーンは思わず笑っちゃった😂
それから姪っ子の将来を心配してか、自分で体のリハビリを始めたり自分で食事の用意をしたりと、マイペースなんだけど意外と頑張り屋さんなのがとっても愛しかったです☺️

その他デンマークのシンプルかつ美しい自然に心を動かされたり、常に澱んだ空模様が姪っ子の心情とリンクした描き方にリアリティを感じ取ったりと、今作はセリフよりも“表情”や“風景”で汲み取る映画なんだな〜と思いましたね🤔

とにかく極限までに削ぎ落とされた描き方に不思議と惹きつけられてしまう、寡黙な“優しさ”にじんわり心が暖まる映画でした。

叔父さんにとって姪っ子はいつかここから羽ばたいてしまう存在だと思っているけど、姪っ子にとってはそんな事は眼中にも思ってないわけであって。
まぁあそこの描き方は観る人によって賛否両論あるかもですけど...それでもああいう暮らし方もまた彼らの人生であって😚

誰になんととやかく言われようが、この“日課”がとても心地よいものなのだから...。