このレビューはネタバレを含みます
こんなに低温調理なアメリカンドリーム物語初めて見ました…
終始無印良品みたいな音楽と自然の音が流れる中
途切れない緊張感と柔らかなムード
モンタージュの緩急が秀逸
銀行は木の穴だし
糸も木だし
幼い頃絵本で読んだ森のパン屋さんのような世界で原始的な手仕事を丁寧に描いているのに
蜂蜜の掛け方がオシャレになってシナモンかけてみたりとか
さながら表参道のカフェに並んでいるかのような群衆とか
牧歌の中にひそむ市場社会主義とビジネスのメカニズム
パイオニアを狙う男たちのギラギラした野心が肌で感じ取れて恐ろしい
牛が女神様のような神々しさと色気を湛えていて一種のファムファタールも感じられる
文明を批判したくはない
けれど牛に語りかける優しい眼差しと
二人のラストシーンに呼応する心がある内は
行きすぎた文明がもたらす結果を意識したい
緊張感のある命の使い方をしていきたい
ラスト席を立つ時に「あれ完全に脳梗塞だろ」って誰かが言ってて
「そうかあれが脳梗塞…」と妙に感じ入ってしまった