コンソメ

ラーゲリより愛を込めてのコンソメのネタバレレビュー・内容・結末

ラーゲリより愛を込めて(2022年製作の映画)
2.9

このレビューはネタバレを含みます

現代の邦画にしてはかなりギリギリのところを攻めていると思う。
その点では十分に評価できる。

でもだからこそ、これで良いのかという疑念は尽きない。

ファーストシーンとラストシーンの繋がりという演出はわかったしそれもいいなと思ったけど
ファーストシーンあれで良かったのか?
何個かシーンなりカットなりオミットしたのか?
必要な要素が抜けてないか?
編集で落としたのか?
の違和感がモヤモヤと付き纏って
それがノイズになってうまく物語に入っていけなかった。
ほぼほぼNが入っていたのも気になった。
それは見てればわかるよ、とツッコみたくなるようなNが多くてストレスだった。

山本さんがどこまでもきれいな人で描かれていて
それは良いんだけど
あそこまで仲間たちの信頼を集める人になり得るのにはやっぱりいくつか要素が足りてない気がした。全体的に説明しすぎで分かりやすすぎるのにその積み重ねができていないのはどうなのか。

美術のせいなのか
CGのせいなのか
何もかもが綺麗すぎて
戦時中の緊迫感とかが半減されていた気がした(役者陣の歯とか衣装とか)
役者陣の演技が素晴らしかっただけに
いい芝居の時にBSのみだったのが工夫が足らないような気がした。
題字も微妙だった。

と、ここまでくどくど書いたが
では映画の出来は微妙だったかと言うと決してそうではなく
全体的にはまとまっていて
心に響くシーンも多くあった。
何回も泣かされたし。
山本さんが
ロシア文学が好きで
と語るくだりから涙が止まらなかった。
この人たちは生まれながらに兵士ではなく、当たり前に過ごす幸せな日常があった
その日常を享受する普通の人だった
という決定的な事実が所々に散りばめられていて(ふるさとの音楽とかシンちゃんの経歴とか)、見逃してはいけないものに気付かされた。
犬の芝居もすごくよく撮れていて好感が持てた。
(よく撮れすぎてなんでここだけ完成度こんなに高いんだよってまた突っ込んでしまった)


全体的に惜しい
コンソメ

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