あっきー

ファースト・カウのあっきーのレビュー・感想・評価

ファースト・カウ(2019年製作の映画)
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ケリー・ライカート監督の2019年作品が、ようやく日本公開!

アメリカ西部開拓時代を舞台にしながらも、いわゆる典型的な西部劇とは異なる語り口。他の監督作と同じように、重点的に描かれるのは生活の営みや周りの自然、そして2人の男の出会いから始まるシンプルながらも奥行きある人間描写。

時代設定が1820年代ということで、西部劇でよく描かれる世界ができ上がる前の時代。タイトルにもなっているファースト・カウは、オレゴンの地に初めてやってきた一頭の牛のこと。アメリカ西部といえばカウボーイがいて、牛がたくさんいるイメージだったので、それが後から形作られたものだということに驚いた。
とにかくそうした歴史的背景も含め、当時の服飾や食文化、使っている日用品や住居などの時代考証の丁寧さがすごい。でもそれが大作映画のような壮大な世界観のためではなく、数少ない登場人物の生活感の手触りを描くためなのがすごい。

観た人の人生のタイミングや心情によって、ラストの受け取り方も、描かれる友情の響き方も違うんだろうな。
今後も観返すために、大事にとっておきたい作品。
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