三郎丸

リチャード・ジュエルの三郎丸のレビュー・感想・評価

リチャード・ジュエル(2019年製作の映画)
3.5
【気がつきゃオレは…テロリスト】

今、話題のオリンピックネタということで鑑賞!

齢90のクリントイーストウッドがまたもやビシッと人間を描きました。
序盤から惹き込まれる硬派な演出!
主人公とパートナーの弁護士がどういう人か的確に描くことで作品後半へしっかりとたどり着く。

第一発見者という、まず疑われる人物を黒く染め上げるが如くな、功を妙に焦るFBIのヤマカン捜査、人権(犯人扱いがキツイ)ガン無視のジャーナリストら…
鑑賞者に、組織の恐ろしさをまざまざと見せつける。

完璧にテロ行為者疑惑の餌食となる人物としてリチャード・ジュエルは描かれているが、まずこの映画の見処は、このテロ事件を乗り越え、主人公が自分自身の心の稚拙さや脆さを認め、成長するお話になっているところが一番の見処でしょう!
パートナー弁護士の励ましもあるが、あくまでも自分の言葉と力で何とか奪われた尊厳を奪い返す!
そこがドラマティックですよい。
 
弁護士役のサム・ロックウェル
・キ○ガイ系から硬派な役までちゃんとこなす。出演作を見るたび印象に残る俳優。
・本作品で素晴らしいのは、主人公より出しゃばりすぎることなく、冷静で的確なアドバイスを与える弁護士という立場に徹するところ。
・あんまり注意して見てるとゲイリーオールドマンに見えてきます!

キャシーベイツ
・毎度芝居が変態的に巧すぎる。

マイナスポイント
FBI捜査官、野心家の女性ジャーナリストなど、中盤までイケイケドンドンな追い詰め系は良いが、主人公の冤罪可能性が高くなってから、妙に感情的な部分が目立ったかな…最後まで撤して欲しい。
特にジャーナリストの女性は後に引けないぐらい叩いてたんだから…お前が泣くなよ!笑

いよいよ待ちに待った…東京オリンピック!
毎日ガンガンオリンピック関係者来日してますが、日本人醒めきってますよね。
コロナウイルス(バイオテロの可能性もありますが…)&爆破テロなんかあった日にゃ
「そっちのお祭りかえ!!」
ですよ…
恐らく今、緊急事態宣言で冷えきった日本人の心にオリンピックきっかけとして活気づけての総選挙やろうと政府は企ててんでしょうけど、国民の政治不信は根深いと思います…

本作品のように、報道の仕方によって知る人々の気持ちが左右されてしまうことはとても危険!ですし、
【誰の心にもある正義】
が暴走すること
(例、トランプ元大統領の選挙落選直後ホワイトハウスでワッショイや日本でも女子プロレスラーの些細なネタで自殺に追いやる執拗なメッセージ等々)
はテロ行為同様恐ろしいということをイーストウッドおじいちゃんはグイグイ突き付けてくるんですよ。相変わらずスゲーじいさんだな…
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