かつきよ

ジェントルメンのかつきよのレビュー・感想・評価

ジェントルメン(2019年製作の映画)
4.0
評価高かったし、ガイリッチー作品なので割と期待して鑑賞!結果としては納得の名作!
原点回帰と言われているだけあって、ロックストックのガイリッチー濃度が戻ってきた!という喜びを感じました!
今回1番好きになった要素は、なんといってもキャラクター!詳しくはネタバレ有りの後半で書きます。

シャーロック、アラジンももちろんよかったですが、初期作の評価が高い故に初期作ファンはこう言う映画待ってた人多かったと思います。しかも今作は、近年の別ベクトルの監督作品の経験を経て、初期よりも洗練された、鋭く現代風の「ガイ・リッチーらしさ」を形にしてくれたなと思いました!とはいえ、私、語れるほどファンではないのですが💦

私みたいなにわかファンでも楽しめたし、古参ファンにも人気みたいですし、もちろんガイリッチーってだぁれー?ってな過去作特に知らない人にも楽しめる様な、尖ってるし、らしさはあるけどバランスはとれた作品に仕上がってたのではないかと感じました。
多少過激なものも大丈夫なのであれば、幅広く万人受けする良質な娯楽映画だと思います!

◾️全体的雑観
群像劇型の作品ですが、相変わらずの癖のあるキャラクターたち、ハマります〜。
関係性は言うほど複雑ではないですが、単純すぎるわけでもなく、ちょうどいい感じです!
ただ、群像劇系共通の難点ですが、登場キャラクタは若干多め。パタパタ出てくるので慣れてない方には大変かも。群像劇慣れしている人からしたら逆に少ないか丁度いい部類だと思います。
いくつかの勢力の騙し合い?関わり合いの末、結局話がどう転んで行くのか、誰が舞台を転がしているのか、ワクワクしながら揺られ続ける感じです。
しかし、人物の多さよりも、テンポとウィット優先で丁寧さや説明がやや後回しな作風は難点だなと思いました。気の抜けるシーンがあまり無く、全てのシーンが重要か、ユーモアがあるか、伏線になり得る感じ、、、。なので、気を抜いて見ていると、大事な伏線を見流してしまったり、関係性がうまく把握できず登場人物の会話や展開に置いてかれたり、それで追いつくまで頭の中で情報を整理しているたったの数秒の間でちょっと面白い話をしていたり、、、と言うことになりかねない。

流し見とかで見逃しがあっても、複雑すぎないタイムラインなので物語は理解できるとは思います。
しかしながら、楽しめる要素が結構てんこ盛りですので、できれば、いや、絶対!2回以上見るべきだなぁと思った映画でした。
これ以上丁寧にしたら時間が嵩まされて冗長になっていただろうし、かと言ってカットするには勿体無いシーンしかないので、中身がたっぷり詰まった映画が故の弊害なのですが。。。

とりあえずあんまり、一回で理解し尽くそう!と思って鑑賞しない方がいいと思います!
1回目はノリで素直に展開を楽しんで、細かいところは2回目見たら、新たな発見がもりもりあったり、感じ方が違ったりしてもっと楽しめると思います!
そんな映画

温度感としてはやっぱり過去作のロックストックやスナッチに近め。
結構深刻な(裏家業を題材にした)世界観ではあるのですが、どこか浮世離れしたコメディ色がキャラクタや世界観からちらほら垣間見えて、極悪人?(少なくとも確実に犯罪者)のはずのキャラクターがどこか愛おしく面白く思えたりします!
オチに関しても、変にズーンってしたりはしなくて、結構スッキリ見られる部類なので、娯楽映画として安心して鑑賞できます!
ただ、そもそもが麻薬とか裏の世界が舞台なので、ギャグ・コメディ調ではあれども結構ショッキングな展開はちょこちょこあるので(某ビッグさんとピッグさんのアレとか、、、)特に敏感な人は注意です!

気になった人は是非見てほしい名作映画!



※以下ネタバレ有りで
詳細感想を書き連ねていきます





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※ネタバレ注意








◾️群像劇として

群像劇をとる監督さんって、私の中ではガイリッチー、タランティーノ、三谷幸喜監督が三大巨匠だと勝手に思っています。
三谷幸喜さんは日本人ですが笑

タランティーノ監督は、この中だと個人の好みドンピシャで理想的な群像劇を仕上げてくれるなと思っております。初期作であるレザボアは「群像劇」として秀逸さは一方抜けないものの、ハードボイルド、イカしたキャラクター、エモさ、わかりやすさ、簡潔さに関しては1番だなって思いますし
代表作のパルプフィクションに関しては、自分の中での群像劇映画の頂点だとすら思ってて、キャラのクセの感じ、話のつながり、わかりやすさ、構成の妙、最後の繋がった時の切なさ、面白さ、考察のしがいなど、個人のツボど真ん中のレジェンド映画なんです。

三谷さんは毛色が違うのでそんなあからさまに比較はしませんでしたが、なまじロックストックはタランティーノ作品にちょっと似てるなってところがちらほらあったせいで、「あーこの人パルプフィクションみたいなのがやりたかったんだなぁ」と正直思いました。
なので、パルプフィクションに比べて荒いなって思うところが多くて、関係性とかつなぎ方とかが煩雑としてるなーというのが正直な感想だったのですが、
一方では、タランティーノ監督ではあり得ない垢抜けた雰囲気、荒くて軽快な乱暴さみたいなものを感じで、とても惹かれました。

タランティーノは愉快、哲学的、仮に頭悪くても知能指数は高そう
ガイリッチーは、全体的にそこはかとなく頭悪そう(いい意味で)なキャラが愛おしい感じ

スナッチはロックストックの二番煎じ感が強くて、ロックストックに比べてふざけすぎている感じもして、少々軽すぎて、あんまり好きには慣れなかったのですが
ジェントルメンは濃厚さが目立っていて、二番煎じというよりは本当に原点回帰といった印象でした。
しかし、進化した、パワーアップした、というのには垢抜けるものはなくて、純粋にロックストックからの群像劇の血筋を引いた後継作、と言った印象を受けました。悪い意味ではなく、「置きに来たな」って感じと言いますか
個人的には、この路線でまた1作品作って欲しくなりました!そちらでは原点回帰しつつまた新しい角度とか描き方、方向性に挑戦して冒険してみてほしいなと思います。

コードネームアンクル等々を見ていて感じたのは、ガイリッチーってもしかして冒険作じゃなくて、置きにくるような手堅いデザインに少量のガイリッチーエッセンスを混ぜ込むくらいが1番光るしじわじわくるのかなという事。
初見からガツンとくる衝撃や真新しさ、斬新さよりも、安定した良さに味わい深さや染み込んだ良さを与えるのが上手い監督なのかなぁ、、、勝手な妄想ですが

群像劇としてのこの作品の評価もまさにそんな感じで、新時代の新生!とか、この時代にこんなものが生まれるなんて!という衝撃までは感じなかったんですよね
ただひたすら、質量と価値の集積が凄まじいなというそういう感想。

◾️オチについて

レビューを見るとどんでん返しが良かった!みたいな意見が多いのですが、どんでん返し慣れしてるとその点は物足りなかったかも。
レビュー読んでいて、どんでん返しってどこのことだろう、、、🤔と思ったくらいなので。
どんでん返し度は6.9くらい!完全に予想できるど定番!と言うほどではないけど、全く予想外の根底を揺るがす衝撃!というわけでもなく、、
よく言えば自然過ぎるんだと思います、流れが鮮やかすぎて。
ミッキーが殺されてなかったとか結構衝撃なはずなんですけど、言っちゃえばあるあるだし、流れが鮮やかすぎて衝撃よりも安心感の方が大きかったです。

ラストのラスト、この映画が私立探偵フレッチャーの脚本の世界だったっていう入れ子構造のオチはよくよく考えると結構衝撃
でも衝撃を感じたのは考察を読んでから
映画鑑賞中は、こいつは何やってるんだ笑くらいのギャグ的な感想しか持ってなかった
この映画、考えれば考えるほどすごい系だなと思います。

構造自体が面白いのですが、ガイリッチー特有の少し浮ついたフィクションらしいユーモラスな演出とか、映画らしい少々大袈裟でエンタメ的な展開自体がこのオチの伏線だったわけだなぁと!
フレッチャーの脚本、脚色ならばしょうがない笑
ガイリッチー作品の雰囲気に慣れていれば慣れているほど、それを逆手に取った演出に最後は上手いことやられたなぁと感じるはず!笑

そもそも、スナッチの時は大袈裟な感じとかギャグっぽい感じが本当に浮世離れしてて現実味がないなぁとか、から回ってるなぁくらいにまでは思っていたのですが、今作はそこら辺のバランスすごくいいなーとすら感じていたので、最後の最後で完封された気分です笑

ついでに、王はミッキーだったけど、王を導いた神の声はロザリンドだったっていうオチも好き。ただ本当に鮮やか過ぎるし、伏線含めささやかな要素に押し留めすぎ!
なんなら、レイモンドが本物の司令塔だったくらいに思ってたけど、(そんな事なかった)
それ位にガツンとやっても良かったろうに、ジェントルメンって荒々しさに対して演出の鮮やかさがお上品!まさに紳士!!!!


◾️キャラクター

この映画で1番語りたいし1番好きなのはここ!!!!!みんな絶対好きなキャラできるでしょう!

1番好きなのはやっぱりレイモンド
チャーリーハナムって誰だろうって思ったけど、パシフィックリムの!パシフィック・リムの時はそんなにって感じでしたけど、いい感じに老けましたね
パワーキャラではないのですが、それでもお洋服の上からでもわかるパツンパツンの筋肉がセクシーすぎでは
キャラクタも何ともチャーミングというか
めっちゃ有能な右腕キャラだけども、無双系ではなくて人並みにめっちゃ奔走している感じが、、、
若者の携帯回収するために奔走するシーンで、なんか振り回されている感が愛おしくて、完全に好きになっちゃいました。
キングアーサー、評価低かったし見る気なかったけど、チャーリーハナム目当てで鑑賞しようかな🤔
チャーリーハナム、ガイリッチーファンすぎて直談判してキングアーサー主演もぎとったのに、大赤字出したって聞いて泣きました
今回はこんなにも面白いし、商業的に大成してるはず!続投希望!!

キャストのネーミング順的にも位置的にも主役はミッキーなんだろうけど、演出的にも存在感的にも最後まで見るとレイモンドが主人公と言っても差し支えないのでは?こういう、少しずれたところにいるキャラクタにスポットが当たった所から物語が展開するのがクセになりそうです
結局ミッキーの命助けるし、暗躍してるのは常にレイモンドだから今作1番の功労者だよなぁ

フレッチャー役の人一瞬トニースタークに見えたけど、まさかのヒューグラント。もうこんなおじさんなのか、、、
今回の役とてもハマり役でよかったのでは?
ヒューグラントってどことなく軽そうなイメージなのですが、その雰囲気がぴったりな役でした
狂言廻し的な役どころで、ストレートに語り手、ラストの仕掛けの為の装置でもあり、物語を盛り上げるムードメーカーでもある
レイモンドも評価している通り頭が回る切れ物だし有能なんだろうけど、最終的にレイモンドには一瞬たりとも勝ててないし、なんか雑魚臭はんぱないんですよね笑
軟派な感じだし
絶対ゲイじゃないのにレイモンドと距離近いし、わかっててそれっぽいフレーズとか下ネタぶっ込みまくるし、その二人のやりとりがクセになってしまう
こういう男同士の体育会っぽい絡み、ガイリッチー監督本当に強いよなぁと思います。好き好き
むしろこれを見に来たくらい、、、笑

ミッキーは結局王者でいるしかない絶対覇者感がよかったし、その覇者の上にはロザリンドという絶対女王がいたっていうオチがさらによかったです。
ロザリンド、ミッキーの弱点であり、結局弱み的な部分なのかと思いきや、結構ちらほら良妻賢母ムーブ見せてきて、戦えるヒロインムーブ見せてきたと思ったら、むしろ絶対女王だったというユーモアがたまらん

でも、穴馬で1番好きになったのはまさかのコーチ笑笑
作中最強キャラ候補なのに、消極的な感じで参戦してるギャップがたまらない
しかも根はすごくいい人で、制御不能の教え子達を救うために高難易度の汚れ仕事をこなしちゃう、みたいな
常に困り顔で無双していくこのキャラ感たまらないです
最後の豚のやつは本当にひどいけど
コメディじゃなかったらサイコも絶句の文字通り人間の考える事じゃない、、、笑笑

ラストレイモンドのことサラッと助けてるし、やっぱり最強のカードはコーチだな感
常にジャージでアイデンティティブレないのもいい

あーーもう一回見たいんじゃぁ〜!!
かつきよ

かつきよ