シマすけ

劇場版「鬼滅の刃」無限列車編のシマすけのレビュー・感想・評価

4.2
【日本中の劇場を救った漢】


あらすじ :
鬼に家族を殺され妹の禰豆子(ねずこ)を鬼にされた炭治郎(たんじろう)は、妹を人間に戻すため、そしてこの世の鬼を討つために鬼殺隊に入隊する。
「無限列車で煉獄杏寿郎(れんごくきょうじゅろう)という男と合流しろ」と指示を受けた炭治郎は、仲間と共に鬼の被害が続出しているというその列車に乗り込む。
しかしそこへ眠り鬼の魘夢(えんむ)が彼らに襲いかかる。


登場人物の名前が難読漢字ばかりで、 毎回コピペでゴリ押し入力しています。

多くの映画館で1日に40回上映と、異例の措置と大流行を巻き起こしている鬼滅の刃。
アニメを全く観ていなかったのでどうしようか迷っていたのですが、

・テネットの初見殺しと比べれば大丈夫
・無知のまま観るとどんな感想になるか

と興味が湧き、基本情報のみおさえて映画館へ。


結論
面白かった。熱かった。心に響いた。

必殺技の叫び「〇の呼吸!〇の型!」が初見だと聞き取り辛かったり、「なんでこの人達いきなり列車に乗ろうとしてるの?」とアニメ未視聴ならではの疑問はありました。
しかしすぐに疑問を感じる暇はなくなり、良作画でグリグリ動くバトルや映画ならではのギミックに驚き、熱い人間讃歌に心うたれ、なんといっても炎柱・煉獄のカッコよすぎる生き様が忘れられなくなるほどには入り込める物語。


【劇場版ならではの派手さ】
「相手を眠らせ、幸せな夢を見せている隙に精神を破壊」する敵の能力は、夢に囚われそうな感覚や夢への侵入、夢からの脱出方法など、”インセプション”を思わせる要素があって少しニヤリ。
魘夢の精神攻撃を受け、夢と決別する時に言い放った炭治郎の言葉に泣かされましたね。
次々と変化する展開、限られた空間での濃いバトル、予想外の仕掛けなど、映画単体で観ても飽きないのが良かった。

【魅力的な主人公】
主人公の炭治郎ってすごく優しい少年なんですよ。鬼に対しては不明なのですが、たとえ自分を傷つけても相手の境遇が分かれば情けをかけるし、最低限の罰を与えるだけで許すこともある。
「君の辛い気持ちはよく分かる。しかし罰は受けないといけない」という冷静で現実的なスタンスがかえって新しく思えます。

【漢・煉獄杏寿郎】
鬼殺隊の最高戦力、柱の一員である煉獄。
失礼ながら初見の印象は「頼りになるが変人」なお兄さんで、少しざわざわ。
でも彼の圧倒的に強い剣術を見る内に、「ただ強いだけでなく信念を貫く高潔な精神の持ち主」だと分かり始め、観終われば「煉獄さぁぁぁん!!!」と叫びたくなりました。惚れます。
たったの2時間かつ初見で心に残るキャラを表現した演出と構成力は見事としか言えません。


確かに何も知らずに観に行くのは微妙だったし、出来ればアニメの履修が好ましい新規には少しハードルの高い映画。
しかし派手な見せ場や迫力のあるバトル、「本当の強さとは何か」というテーマから、実は海外のスーパーヒーロー映画とかなり相性が良い部分が多いので、そのような映画が好きな人達が観ても満足できるところがあるのでは。
食わず嫌いばかりでも勿体無い、そんな映画でした。

しかしコロナ渦で上映作品が軒並み延期され苦しんでいる映画館にとって、これほど人気がありリピーターもある程度見込める本作は本当に劇場の救世主なのでは。そう思います。

煉獄さんは映画館の客足を呼び戻して窮地を救い、多くの観客も勇気づけた、虚構と現実、両方のヒーローなんだ!
シマすけ

シマすけ