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アンキャニー・不気味の谷のkuuのレビュー・感想・評価

アンキャニー・不気味の谷(2019年製作の映画)
3.8
『アンキャニー不気味の谷』
原題 UNCANNY.
製作年2015年。上映時間85分。

見かけも頭脳も限りなく人間に近い『人造人間』を目の前にした時、人はどないな行動を取るんか。
そしてそこまで高度に開発されたAIは、どんな進化をしていくのか。

原題の“Uncanny”は不気味の谷という意味の“Uncanny valley”から。
だけど、Uncannyだけだと『凄い、超人的』といった意味もある。
研究者とAIの間に密着取材に訪れた女性記者との3角関係という割と面白いテーマを少々強引とも云える結末で描いた近未来SFホラー映画。

19歳でコンピューター科学と機械工学の学位を取得したデイヴィッド・クレッセンは、MIT卒業後、個人の天才科学者に対して投資を行うキャッスルの誘いを受け、世間から隔離された“ワークスペース18”で独自の研究を行ってきた。
彼が10年に渡り作り上げたのは、人間とほとんど見分けがつかない人型人工知能のアダム。
その成果を世間に公表すべく、キャッスルは女性記者ジョイに、1週間に渡る独占取材を依頼。彼女はアダムを開発したデイヴィッドの才能に驚きつつも、その傲慢な態度に嫌悪感を示す。だが、次第に彼の素朴さに好意を抱き始める一方で、アダムは次第に不可解な行動をとり始める。。。

『エクス・マキナ』が未来技術の典型であり、それがもたらす潜在的な影響を示していたとしたら、『アンキャニー』は個人的にはチョイその上を行ってるかな。
示されたデザインや未来的なテクノロジーのせいではなく、驚くべき結末のせいです。
厳粛なイメージと明らかに低予算にもかかわらず、今作品は心地よく魅了してくれました。
特に、キャラたちのやりとりが印象的でしたし、『エクス・マキナ』と同様に、主人公の数が限られているため、対話に焦点が当てられてたから、結局、関係のない脇役の絡みで終わることはなかった。
また、ハイエンド技術の展示が限られているにもかかわらず、
空気入りチタン、
半球状の画像を平面状に変換する、
合成ハイモトリプのチャンバーバス、グルテンを分解するプロローナプロティース、
プロプリオ情報を伝達するペシニウム・ビボ・レセプター等々、
私的には理解不能な技術的の連続で、知的レベルが向上してよーな気になれた。
人工知能やロボット工学は、新しい、魅惑的な映画の宣伝文句のようなんは古くなってきたかもしれへんけど、
人工知能やロボットをテーマにした映画が氾濫してるなぁ。
『エクス・マキナ』以外にも、『Automata』、『Chappie』、『トランセンデンス』、『ザ・マシーン』、『Her世界でひとつの彼女』『ブレードランナー2049』エトセト。どの作品も、A.I.のさらなる発展に潜む危険性を示してる。
自己開発した機械が自意識を持つことを心配すべきなんか、
はたまた、倫理的な問題はどうでなんか。
これらの高度な知的生命体は、人間社会でどのように機能するんか。
ほんで、これらの人工的な個体は人間に対してどのように反応し、行動するんやろか。
この後者の側面は、この低予算の優れた映画の中で微妙に説明されてました。
人間と、不気味なほど人間に近い人工的なロボットとの複雑な関係。
目の前で繰り広げられんのは、人間に似た感情を持つアンドロイドとの複雑な三角関係。
嫉妬が大きな役割を果たしてた。
作中の印象的やったんは、デビッド・クレッセン(マーク・ウェバー)が設計した自律的に動くロボット、アダムを演じるデビッド・クレイトン・ロジャースの演技。
彼のアダムの演じ方は、作品全体を通して崇高なものとさえ感じたし、彼の演技を見てっと、本当に人工的に作られた知的な存在やと納得させられたほど。
彼の困惑した表情や、デビッドやジョイが彼に反応したときの驚きの表情。彼が頭の中ですべての可能なフィードバックをスキャンしているときの迷いの表情、そしてその後、まるでウィキペディアのページから引用しているかのような言葉の流れが続く。
彼のデザイナーも同じような特徴を持つことがあります。
だから、彼もアンドロイドなのではないかと思っちまう。
例えば、ジョイが可愛いかどうかを答えるときの彼の表現方法。
彼女の髪はいいね。
顔の対称性が良い。
繊細な顔立ち。
ファッションセンスがいい。
はい、そうです。
彼女はきれいだと思う。
そして最後にジョイ(ルーシー・グリフィス)かな。
彼女は知的なジャーナリストで、ロボット工学を学び(多分卒業していない)、『アクエリアス3』というゲームの制作やデザインに携わった人物って設定。
このゲームが成功したので、彼女が勉強を続ける必要はなかったらしい。
これが唯一気になった点でもあるかな。
なぜ、このような高度な技術を要する問題のレポートを書く人に彼女が選ばれたんか。
それとも、彼女のために何か特別な計画があったんかな。
いずれにしても、彼女の演技には十分な説得力があったっすわ。
今作品はでんでん虫ムシカタツムリ~🎵のように遅ぇし、アクションや興奮がないのは不満を生まれるかもしれへんけど、徐々に盛り上げていく展開、見事な台詞回し、キャラたちの微妙な絡み合いは、結末が驚きに満ちたものになるために必要なことなんかなぁと思います。
それでも不穏な結果をもたらす魅力的な映画でした。

アダムは女性にとって究極の夢なんかなぁ。
ターザンのような特徴を持つ、洗練された家庭用キッチンロボット。。。
まあ、未来のビジョンが食欲をそそる人もいるかもですね。
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