【見上げた空は…狭いなｱ】
原作は実在した方を描いた作品です…
天涯孤独のその人は【世間が守るべき人】であったはず。
身分帳という、刑務官の記載する自分の評価をどんな気持ちで眺めたのか？
原作で印象的だったのは、
「主人公の遺骨は骨がボロボロであり、生前の身体はキツかったのではないか？」
という部分。国の保護を受けず、身体にムチを打ち生活をしていたのかとたまらない気持ちになりました…
原作【身分帳】オススメです！
お話は、
主人公三上(役所広司)は殺人罪等々の前科者。シャバよりムショにいるのが長い男。
世の中、普通の人も生きていくのに大変…しかし、主人公は
【ムショには二度と戻るものか】
と、固く決意します！
しかし、短気が災いしトラブルが絶えず、高血圧なのにすぐにカッとなりクラクラします。(この作品はそれが肝なのですが…)
うまくいかない【日常生活】に、つい口よりも手が出てしまいそうになる主人公…
社会から隔絶されていた人を通して見る、現代社会の不条理さ…その先にタイトルにあるような、すばらしき世界はあるのか…？
普通に生きていても、今の世の中の生きづらさは感じるこの頃…
日本は何かと便利ですし、きちんと生きてさえいればそれなりに困らない人生は過ごすことが出来る可能性はあります。
しかし、本意、不本意問わず普通の道を外れた人々が本当に更正するチャンスやそのサポートはあるのか…？
【役所広司】
・まさに適役！啖呵を切ったり、まっとうに生きるため取り繕う抑揚のある演技の素晴らしさ！！
・終盤、介護施設でのハンディキャップのあるスタッフ(いい顔するんだよな…)が台風から助けた
【コスモスの花】(=花言葉は「調和…」)
の主人公へ受け渡すシーン(主人公は色々な想いから、すぐに受け取れないんです…)は顔から全汁垂れ流しモノ！マスクがあって本当に良い！！
【仲野太賀】
・作中尻上がりに良い顔になってましたねー、主人公との風呂のシーンが特に良い！…ただし、安易にオヤジと一緒の作品は出ない方が良いと思います。そういうのは「ウルトラマン」がやります。
【長澤まさみ】
・こんな美人、こ汚い七輪焼き肉店行かないです！
・殺人の前科ある主人公のことを覗き見る時に【笑顔】だったことが、マスコミと現代人のリアルに見えました。
普通の日々に刺激が欲しいし、視聴者にウケる。だから、ヤラセ！も許容し、
【衝撃映像】
的なモノを売るテレビ番組(警○24時等々)、映像(リンチや事故映像等々)が後を絶たない。話題になれば良い？
・膝頭のキレイさ！「映像処理してんじゃねーの！？」ぐらいハンパなくキレイ！(あくまでも、ワタシがファンであり…スケベニンゲン着眼点)
【キムラ緑子】
・トンでもない伏兵ですよー！
主人公に出所祝いを渡す時のやり取り全部がイイ！！
極道の妻に疲れた感じも見え、セリフがイチイチ堪えます…
【六角精児】
・本当に主人公に寄り添ういい人！…であればあるほどに
「アンタもこっち側の人間でしょうよ！」
と無言でツッコミ入れてました。それくらい主人公に寄りそう理解者。
「ワルモノには制裁を！」
を声高に言うのは良いとは思いますが、
死刑の者以外基本出所してくるわけで、社会復帰を目標とせず、単に狭い刑務所で過ごさせるだけだと再犯率は異常に高い。本作品でも統計を出してますし、高齢者は生活苦を理由にわざと犯罪を犯し入所する始末で、結果、税金を使って世話しているわけです。
…しかし、あまりにも出所者に対し更正チャンス手札がないように感じます。
(総理大臣は「生活保護！」を推奨されているようですが！)
・ここが秀逸！！
主人公が勤めた介護施設の
【スタッフのクソったれ加減】
は、今の世の中の縮図のよう。
ハンディキャップあるスタッフが台風が近づく荒天の中、外で作業していても「誰も手助けしない」
それどころか、そのスタッフの仕事の失敗やゲスいモノマネを披露(本当に不愉快…シバきたい)スタッフ皆で小馬鹿にするんです。
【一番サポートすべき者を蔑ろにしながら、自分たちに都合良い時にだけ！対等の存在にして、皆でたたく】
映画は極端な例で、実際良くある話なんです。
まさに…「すばらしき世界！」
マイナスポイント
・主人公をサポートする人々があまりにも良い人過ぎた
・台風の中、主人公が洗濯物をすべて取り込めないところで何があったかみんな気づいた。コスモスと白い手から【すばらしき世界】タイトル出しで充分です。
オマケ
以前、レビュー内で某空港で役所広司氏を見かけた際の、【ガッツリ寝ぐせ】をネタにしてしまいましたが、再度お見かけした際は、奥様とご一緒で、役所氏は【帽子をしっかり被って】おりました。
(周りの人に軽く会釈して、高倉健氏を思い出しました)
個人的には、お洒落帽子よりボンバーヘッド状の役所氏がまた見たいです！
