ましゅー

ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像のましゅーのレビュー・感想・評価

3.8
久々の都内。昨日木曜日は在宅勤務からひととき解放され、受注業務の電話番がメインではありますが久々にオフィスに出社しました。もちろん自宅ではしづらい他の業務も手掛けつつ、神経はある一点に集中しています。
.
そう。せっかく都内に出たのから、都内でしか演っていない映画を観よう、と。
毎度の如く本日の業務進捗と上映スケジュール、劇場までの距離・時間を掛け合わせ、出た答えがこの場所・この作品です。
.
.
観たかった。…こんなのを観たかった。
.
たぶんフィンランド映画は初。

北欧ならではの燦々とは言えない陽光に照らされる風景・室内描写や、寒々とした陽気(と言うのか?)やそぼ降る雨など、シーンシーンがまず印象的。
.
また登場する人物たちも北欧気質なんでしょうか。派手派手しい人物は一握りの裕福な人たちだけで、みな感情の起伏はそれなりにあるものの、極めてしっとり。

主人公の老美術商オラヴィはもとより、疎遠になった娘レアや、問題児の孫オットーですら。
個人的な感想ですが、日本人にもしっくり来る感じです。
.
でも紆余曲折のストーリーはしっかり興奮しますし、何より予告と煽り文句で想像させられた、ある意味ミスリードのクライマックスはあっさり裏切られ(いい意味で)、その代わりと言ってはなんですが、じーんと心に残るラストに深い感銘を受けました。
.
父娘、祖父と孫、母子。ほどけかけたそれぞれの、そして三人の絆の回復の物語。
.
ここのところどっかんどっかんとか、ぐちゃぐちゃとか、鬱々した作品ばかり観ていたので、久々にこの静かに熱く、じんわりとした余韻に、もう少しだけ身を委ねたいと思いました😌
.
(以下 公式HPより抜粋)
「幻の名画」に込められた真実が明かされるとき、すれ違う家族の秘めた想いが絆を紡ぎだす---
.
年老いた美術商のオラヴィは、なによりも仕事を優先してきた。家族も例外ではなかったが、長年音信不通だった娘に頼まれ問題児の孫息子・オットーを職業体験のため数日預かることに。
.
その矢先、オークションハウスである一枚の肖像画に目を奪われる。ひと目で価値ある作品だと確信したが、絵には署名がなく、作者不明のまま数日後のオークションに出品されるという。
.
「あと一度だけでいい、幻の名画にかかわりたい」---オットーとともに作者を探し始めたオラヴィは、その画風から、近代ロシア美術の巨匠イリヤ・レーピンの作品といえる証拠を掴む。 画家の命である署名がないことだけが気がかりだったが、オークションへ向け資金繰りに奔走するオラヴィ。
.
そんな折、娘親子が自分の知らないところで大きな苦労をしていたことを知るが…。生涯を美術品に捧げた男がたどり着いた、真に価値ある人生とは---
.
その絵は、誰が描き、どこからきて、なぜ署名がないのか。 胸を打つエモーショナルなラストに心震える感動作
.
ましゅー

ましゅー