サラリーマン岡崎

カモン カモンのサラリーマン岡崎のレビュー・感想・評価

カモン カモン(2021年製作の映画)
4.6
『20th Century Women』では子供目線から、親が完璧でなくひとりの人間であることを実感し、
今作では大人目線から、子供もしっかり考えを持って行動していることを実感する、
マイク・ミルズは「わかり合う」映画を撮る作家だ。

主人公がラジオの仕事で様々な子供達にインタビューをするシーンがたくさん流れる。
どの子供も考えがとてもしっかりしている。
自分が子供の頃はこんなに聡明な考えを持ててはいなかったと思うが、
あの頃持っていた思いを今持てているのかはわからない。
彼らを見ながら、そんな喪失感を味わいながら、この作品は始まる。

自分は結婚もしていないし、親戚にまだ子供もいないが、
よく映画を通して、子育てって大変そう…と第三者ながら感じてしまう。
自分の言動や行動がどの様に子供に影響するかわからない中、
子育てをしてしまう怖さを感じる。
その怖さに対して、この映画はひとつ解答を与えている様な気がする。
まさに「わかり合う」こと。
子供たちの行動や考えに対して、真摯に向き合うことで、
彼らも大人たちを受け入れてくれる。
もちろん忙しい中、子育てにも体力を削られて、そんなことを考えている暇がないのが現実だとは思うけど、
その中でも、一辺倒に考えすぎていて、大人たちが間違っていることも多いにありえ、
そこに気づきを覚えて、大人たちも成長していく過程をこの映画は見せてくれる。

まさにその役目を今までは母親が全て担っていたと劇中である本の引用から語られるが、
そこに子育てとは無縁の独身貴族の男を主人公にすることで、
誰もが未来を生きる子供たちの為に、子供と向き合う責任があり、
子供と向き合う意義をも伝えてくれる。
また、アメリカ中にいる子供たちにインタビューのなかで、
大人から影響を与えられた子供を多く映すことで、
よりその未来への責任を感じさせてくれる映画だ。

丁度1ヶ月前に会社の先輩とキャンプに行って、
そこで先輩の息子さんと遊んだけれど、本当にかなり体力がいるし、
注意が必要だと実感した。
でも、遊んでいると彼の妄想による発想の面白さだとか、
飽きることのない探究心に驚きを覚えた。
子供たちから逃げずに、語り合うことで、明るい未来が生まれ、
また、自分たちのためにもなる。
単純に子供を持つことに希望がもてる大切な作品となった。