なべ

アメリカの息子のなべのレビュー・感想・評価

アメリカの息子(2019年製作の映画)
4.2
 ううう、苦しい。胸が痛い。これが現実か…。
 戯曲の映画化だけど、アメリカの黒人差別がどういう構造なのか、これ一本でとてもよくわかる。そもそも黒人と白人とでは見えてる世界が違うのだ。同じ黒人の中でも理解の仕方、捉え方がこんなに異なっていては、もう何から手をつけていいのやら…。
 登場人物は4人のみ。舞台版のキャストが全員そのまま演じている。映画化されても警察の待合室以外のシーンはほとんどない。せめてYouTubeの動画くらいは見せてくれてもよかったのではないかと思う。
 もちろん映画的効果が少ないからといって、本作の価値が損なわれることはない。もし劇場公開してたらアカデミー賞を総ナメしてたはずだ。皆さんもぜひ観て。一刻も早く。そして言葉を失って欲しい。公平な視点というのがどれほど残酷なのか味わって欲しい。米国で何が起こっているのか知って欲しい。
 本作を知った今、スパイク・リーが賞を獲れない理由がよくわかる。彼の視線はまだ生やさしいのだ。
 差別がこんなに根が深いなら、偏見がこんなに罪深いものなら、もうなくせない気さえする。
 ああ、言いたいことがいっぱいあるけど、考えるべきことの方が多すぎて。今はまだ軽率なことを言いそう…。
 見終わった直後で動揺しているので、今はここまで。落ち着いたら改めて書き直します。

 とりあえず、日本のニュース番組やワイドショーがこれっぽっちもわかってないことだけははっきりわかった。

〈レビューが未完なのに追記〉
他の人のレビューをみてさらにショック。この作品を観て、そんなことを言えちゃう?って驚き。そのレビューが差別や偏見に覆われていることになぜ気づかないのか。エンパシー、自分とは異なる立場になって考えることを身に付けて!
 「アメリカの息子」は差別のリトマス試験紙のよう。その人の差別に対する意識レベルがよくわかる。お願いだからレビューを書くときには慎重に。差別の容認、助長に加担しているレビューを目にするたびゾッとします。
なべ

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