アメリカの息子の作品情報・感想・評価・動画配信

「アメリカの息子」に投稿された感想・評価

to

toの感想・評価

3.9
黒人の妻と白人の夫とハーフの息子のお話
彼らは彼ら自身がハーフになった経験がないから、息子の宙に浮いてて、両サイドとの軋轢を知ることはできない。

妻は白人として権利を主張し白人と同じように評価されて、立派に育って欲しい。

夫は黒人の中で一番逞しく生きていけるように優秀な存在にしたい。

前者は外部の認識が差別的ではないという理想の上での権利主張
後者は肩書きをつけて差別に遭わないように本人に力をつけさせ、周りに認めさせようとする。

終始、感情論になる妻と、論理的な夫だったなと。


黒人とつるむだけで、ハーフの子でも黒人に見られるだろうし
白人には見えないっていうだけで社会的地位が高くないって社会は認識する。

白人にも黒人にもどうしようもない鬱憤がアメリカの複雑な奴隷制だったという歴史の上に溜まりつづけているんだなと。

日本人には理解しきれないんだろうな。逆に理解できないってことは幸せなことなんだろうね。未経験なんだもん。
1日でも反抗的な態度取ったら殺される気持ちになったことはあるだろうか?
しかも相手は超権力者で短絡的思考の人かもしれない。。。
GreenT

GreenTの感想・評価

3.5
ブラック・ライブス・マター、黒人差別問題の本質にズバリ切り込んでいる映画です。これ以上わかりやすいものはないのではないでしょうか?

ケンドラ(ケリー・ワシントン)は、18歳の息子のジャメルが帰ってこないので行方不明捜査を警察に依頼する。

ケンドラは警察の待合室で何時間も待たされ、対応してくれる若い白人警官は「規則」を理由になにも調べてくれないし、教えてもくれない。

心配で狂いそうなケンドラは、警察のデータベースで調べろ!とねじ込むのだが、「それなら、もっと詳しい情報がないと」と警官は質問を始めるのだが、ジャメルを犯罪者扱い。

そこにジャメルの父親・スコットがやってくる。警官はスコットが白人のFBI なので、ジャメルの父親と思わず、ケンドラに明かさなかった情報をベラベラ喋り始める。

ケンドラとスコットは別居状態にあるらしく、2人の人種間結婚の問題などがどんどん出てくるのですが、これも興味深い。子供の名前が「ブラック過ぎる」「アイリッシュの名前を付ける気はなかった」みたいな会話とか。

そこにスコットの弟からSNSに上がった黒人が警官に撃たれる動画が送られてくる「これジャメルか?」と。動揺した両親は若い警官に詰め寄るが、そこに担当刑事がやってくる。

刑事は初老の黒人。ジャメルに職務質問した警官も黒人だったらしい。

ケンドラの心配は、黒人男性の母親なら共感できる心配だと思うんですよね。この映画結構評価低くて、「このお母さんが一番人種差別的だ」って言われているんだけど、このくらいピリピリするよなあ、と私は同情した。

父親のスコットと、黒人の刑事は「アメリカで黒人の男として生まれてきたら、差別を受けることを前提に生きなければならない」という。つまり疑わしい行為をしたら問答無用に逮捕されたり殺されたりする運命を受け入れて、それを避けるように生きるしかないと。

しかしケンドラは、それは違うと思っている。彼女は息子を、黒人のステレオタイプとは真逆に育てる。その辺の白人なんかよりよっぽど教養があり正しい英語を喋る。これは映画『ルース』にも通ずるところがある。

だけどジャメルはティーンエイジャーだ。悪いこともしたい年ごろ。ギャングスタのような服装をしたり、反体制的な態度を取る。

これはね~、身に詰まされました。私もティーンの時は本当にワルかったけど、「若くてバカだからしょうがない」と許して貰えていたけど、黒人男性だとそんな反抗期さえ許されない。

この映画は密室劇というか、警察の待合室から一歩も出ないのですが、元々はブロードウェイの舞台だったそうです。社会的に違う立場、違う声がある登場人物数人しか出て来ないからなおさら、この問題の難しさが浮き彫りになった感じがして、ワタシ的にはとても良かったと思います。

先に書いた「このお母さんが一番人種差別的だ」って意見、もちろん分からないではないのですが、綿々と何百年もそういう扱いを受けてきていたら、私もこのくらいパラノイドになると思う。このお母さんを批判できる人は、「黒人だってちゃんと社会に受け入れられて生きているじゃないか。この人が言うほどひどくないだろう」って思っているのでしょうが、それはそういう「社会の闇」を体験せずに暮らしていけるからだろうなと思わされます。

例えば、コロナが「陰謀だ」って言っているトランプ支持者の友達は、「だって、何百万人も死んでいるってニュースでやっているけど、私の周りにコロナになった人一人もいないもん」って言っていたけど、それって単に「恵まれている人」は「恵まれてない人」と接触しないでいいように分断されているから知らないだけなんじゃ?と思った。

「見えないものは存在しない」・・・それを「存在する!」と主張すると、主張した方が裁かれるような構造が、黒人問題の本質なんじゃないかと思わされる。
reina

reinaの感想・評価

3.7

このレビューはネタバレを含みます

これは重かった。
一つの部屋で2人、3人から多くて4人だけで話が進む。

ストーリーの中で白人側からと黒人側からと警察側からの見てる事実やそれぞれの思うことが表現されている。

黒人の人たちが生まれた時から教えられることは日本人として生まれてきて日本に住んでるとまず想像出来ないこと。

事件に巻き込まれたのは白人と黒人のミックスの子だったけどその子の背景がまた複雑で自分が何なのかを模索してる中での今回の事件。

それぞれの言い分を聞いてると何が違うとかそういうのはなくて言ってることもしてることも間違いじゃないと思うしやっぱり育ってきた環境の違いは大きいなと思う。
ミキ

ミキの感想・評価

3.8
正直母親の皮肉さはやとちりあげ足とりに
終始イライラ
でもこのイライラはきっとこの映画をエンタメとして観ているからなんだろう。
きっと体感した人にしか分からない、どれだけ言葉で伝えても足りない苦しみ。

登場人物のそれぞれの生まれの背景、歴史、アイデンティティがあってそこを互いに譲ろうとしない。
皮肉にも違う目線からみんな差別し合ってる。。

役者さん達の演技力が素晴らしい。
そして最後の言葉。鳥肌が立ちました

このレビューはネタバレを含みます

環境とか無意識の偏見からくる差別もあれば根強い怒り悲しみからくる差別もあるけど、"気にしすぎ" "差別されても仕方ない"みたいな完全に第三者だからこその意見を見てこれも差別がなくならない一つの原因だなあと思う。知識のなさ以上に理解しようとする力のなさ
千

千の感想・評価

3.7
素晴らしかった。

たしかに、舞台が元だなぁと感じさせる映画作り・長セリフの応酬で、最初はやや閉塞感というか、息苦しさを感じた。


しかし、ケンドラ(ケリー・ワシントン)、スコット(スティーヴン・パスクール)他、の役者の演技が素晴らしかったし、肌感覚で黒人の人達が抱える恐怖や、葛藤が伝わってきた。

また息子の母親で黒人であるケンドラだけの主張にフォーカスするのではなく、
白人の夫スコットの主張、
その他の立場の人の主張も大切に扱っていて、すごく好感が持てた。(偉そうな言い方に聞こえたら、ごめんなさい!上手な言葉が見当たらず。。)

個人的にはぜひみて欲しい映画の一つでけど、好き嫌い分かれそうだなぁ。。
風来坊

風来坊の感想・評価

2.8
元々はブロードウェイで人気を博した舞台劇らしい。登場人物の少なさと限定された空間での空間で行われる会話劇は舞台劇が元ネタなのがよく分かります。ただ…折角映画にしたのだから少し設定を弄って、舞台をワイドにしても良かったのではないかと思います。

白人の警官の刷り込まれた根底から来る人種差別から息子そっちのけで繰り広げられる夫婦の間の堂々巡りの確執…観ていてツラい。
価値観の全てが違うような2人がなぜ夫婦になったのかがちょっと理解出来ない。

窓の外のどしゃ降りの様子が不穏さを際だたせていて、さりげないですが小道具としてなかなかの存在感を出しています。
警察の対応がホントにクソ…これじゃ怒るのもムリはない…。更に黒人の捜査官が火に油を注ぐ…。黒人側から白人への差別や警官という権力を持った者からの一般人への差別も描いている模様。何の権利があって説教するのか腹立たしい。

母親役の女優さんは息子の為必死で差別剥き出しでやる気がなく話の通じない警官相手に憤りヒステリックになる迫真の演技で魅せますが、個人的には卑屈な感じがあまり良く見えないのがネック。
劇中に「街を巡回する警官は武器を使うロボットではない」という台詞があるが昨今のアメリカで起きてる警官の対応を見てしまうと空虚に思える。

登場人物達のイライラがこちらにも伝わり非常に胸糞悪い。ハッキリと状況を説明してないのにここまで胸糞悪いのは流石かも。
閉塞的な空間でのなかなかに出来た会話劇で好きな人には堪らないし、人種差別問題にも一石を投じている作品ですが、とにかくイライラして私には合わず充分には良さを受け止められませんでした。

まとめの一言
「果てしなく続く人種差別と悲しみの連鎖」
pen

penの感想・評価

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このレビューはネタバレを含みます

台詞の応酬の端々から見えてくる認識の違いに、息が詰まりそうになった。去年配信されたもののマイリストに入れたまま、戯曲が原作という情報しか持たずに今年観た。BLMが各地で起きている現在だからこそ観た方が良いと感じる一方で、そもそもずっと続いている問題であることを突き付けられた。

この映画には逐一、相手の持つ先入観を意識させられる。例えば行方不明の息子の所在を確かめたい黒人の母親に、白人の警官が質問する序盤の場面。
警官は息子さんの名前を聞いた後、「street name」(訳では俗称となってたけど、違う気がする)は何かと聞いてくる。そういうものがあるという前提で聞いてくる質問。そんなものは無いので当然母親は否定するのだが、このようなやり取りが度々繰り返される。
この繰り返しが深い溝を感じさせて、何度も胸を苦しくさせた。
人種差別の映画や本などをいくら見ても、読んでも、まだまだ理解できないし知らないことだらけ。

最後のセリフがいつまでも残る。
なべ

なべの感想・評価

4.2
 ううう、苦しい。胸が痛い。これが現実か…。
 戯曲の映画化だけど、アメリカの黒人差別がどういう構造なのか、これ一本でとてもよくわかる。そもそも黒人と白人とでは見えてる世界が違うのだ。同じ黒人の中でも理解の仕方、捉え方がこんなに異なっていては、もう何から手をつけていいのやら…。
 登場人物は4人のみ。舞台版のキャストが全員そのまま演じている。映画化されても警察の待合室以外のシーンはほとんどない。せめてYouTubeの動画くらいは見せてくれてもよかったのではないかと思う。
 もちろん映画的効果が少ないからといって、本作の価値が損なわれることはない。もし劇場公開してたらアカデミー賞を総ナメしてたはずだ。皆さんもぜひ観て。一刻も早く。そして言葉を失って欲しい。公平な視点というのがどれほど残酷なのか味わって欲しい。米国で何が起こっているのか知って欲しい。
 本作を知った今、スパイク・リーが賞を獲れない理由がよくわかる。彼の視線はまだ生やさしいのだ。
 差別がこんなに根が深いなら、こんなに罪深いものなら、もうなくせない気さえする。
 ああ、言いたいことがいっぱいあるけど、考えるべきことの方が多すぎて。今はまだ軽率なことを言いそう…。
 見終わった直後で動揺しているので、今はここまで。落ち着いたら改めて書き直します。

 とりあえず、日本のニュース番組やワイドショーがこれっぽっちもわかってないことだけははっきりわかった。

〈レビューが未完なのに追記〉
他の人のレビューをみてさらにショック。この作品を観て、そんなことを言えちゃう?って驚き。そのレビューが差別に覆われていることになぜ気づかないのか。エンパシー、自分とは異なる立場になって考えることを身に付けて!
 「アメリカの息子」は差別のリトマス試験紙のよう。その人の差別に対する意識レベルがよくわかる。お願いだからレビューを書くときには慎重に。差別の容認、助長に加担しているレビューを目にするたびゾッとします。
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