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tick, tick...BOOM!:チック、チック…ブーン!のuneoのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

これは劇場で観るべき案件だった。配信で気軽に観られるのもいいけど、大スクリーン+音響設備の整った環境で観る体験は別物だから、それに見合った作品はやっぱり映画館で観たいな、と。
ジョナサン・ラーソン。恥ずかしながら彼の作品たちはタイトルを知ってるくらいで未見なのですが、今ノリに乗ってるリン=マニュエル・ミランダが監督してるミュージカルだからという理由だけで観た次第。
まだ背景や詳細がわからないけど、彼の自叙伝的なミュージカルの映画化、ということなのかな。本人のことを知らない身としては、演じるアンドリュー・ガーフィールドこそがジョンなんじゃないかって錯覚してしまうほどハマり役。アメイジング・スパイダーマンな彼を知ってるはずなのに(ちなみに彼の演技を観たのはアメスパ2以来…)そう感じさせてしまうのは本当にスゴいことだと思う。オスカー級じゃないかな。
そんな彼の自分語りとスーパービア視聴会までの課程が並行して(または各々が交差しながら)描かれていく様が、シームレスで不思議な感触。
30年前当時の空気感を知らないはずなのに切実に感じられるのは、NYから遠く離れた東京で少年時代を過ごしていた自分も殺伐としたものを感じていた記憶があるからなのかな。もちろんそれは現在ともリンクしているし、普遍的な主題を描いているからでもあるけど。
ほぼ初めて聴くメロディや詞なのに、すでに知ってるかのようにすんなり入ってくるのがスゴい。これが天才と呼ばれる所以なんだろうな。
才能あるアーティストの葛藤を題材にした作品は数あれど、こんなに胸に迫るものを感じる作品はそうそうない。ジョナサン・ラーソンを知らなくても十分楽しめるのでオススメ。
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