ゼロ

ステップのゼロのレビュー・感想・評価

ステップ(2020年製作の映画)
3.8
Filmarksオンライン試写会にて鑑賞。

原作は重松清先生の小説で、内容としては、30歳で愛妻を失くした男性がシングルファーザーとなり、幼い娘とともに2人を取り巻く人々と交流していく中で成長していくさまを描く物語です。

主人公の健一を演じる山田孝之さんが、トリッキーな役を演じるのではなく、父親を熱演していました。娘に愛情を注いでいる感じが画面から伝わり、良かった。

音楽は、派手にするのではなく、日常に寄り添ったような静かなものが大きかった。

全体を通じて、悪い人は出てこなく、優しい人だけの物語です。シングルファーザーで娘を育てることの難しさや若くして愛妻を無くしたからこその恋愛の難しさなど日常的にありそうなことを丁寧に描いていました。

第一章から第六章まで描かれるので、期間としては10年程度です。娘の美紀が保育園から小学校を卒業するまで。素朴な感じが多くあり、人の死や家族の在り方を描いているのもあり、泣ける要素も多くありました。

國村隼さん演じる村松明の役も、娘が亡くなり、息子が結婚するも子供に恵まれることはなかった。こんな人生ではなかったと口にしていましたが、新たに書き直せば良いと前向きな発言をしておりました。そうなんです、誰しも思い描いた人生を描いているわけではありません。

疲れた大人にこそ、観て欲しい作品でした。
ゼロ

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