B5版

17歳の瞳に映る世界のB5版のレビュー・感想・評価

17歳の瞳に映る世界(2020年製作の映画)
3.6
少女の等身大でありふれた平凡な悲劇の話。
主人公は10代だが普遍的に女に押し付けられた負荷描写の絨毯爆撃にぐったりする。
生々しい一連の施術が映る点も、女性には鑑賞にしんどさを感じると思うので注意が必要かも。
だがすごく重要な映画だ。

妊娠は女にリスクが10割のしかかる不公平な事象だ。
生物の成り立ちといえ、女にとって安全100%な交際というのはない。その現実を思い出す度とても遣りきれない。
中絶は権利だが権利行使のためには罪悪感と安くない費用が求められる。
NYでお金がないまま彷徨い途方に暮れる2人。なんとか親にバレずに堕胎を遂行しようとする無鉄砲さや浅知恵感は紛れもなく主人公達は子供なのだという思い知らされる。
子供達は逡巡する。逡巡させられる。

興味深いのが事態を好転させるためになにかと矢面に立つのが従姉妹の方であり、ずっとだんまりで大人しく消極的なのが主人公な点だ。その非対称性、堕胎というテーマからも『4ヶ月、3週と2日』を思わせた。
その美しい従姉妹には男からアプローチが絶えないが、作中の彼女は全く嬉しそうに見えない。曖昧な笑顔で平和的に躱そうとするが相手の勢いに断れないままズルズルと巻き込まれていく。
カウンセリング内の行為の会話を見るに二人は一見似ていないようで、男への関わり方は似ていると気づく。
そして作中の女の子二人だけでの話ではないことにも気づく。

相対的な消費される側の価値ではなく絶対的価値を自分の中に見つけたい。
男よりも依然下の立場なのが現実の今でも。

never rarely sometimes always
しかしもっといい放題あったと思うよ…
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