NoAceJustYou

クローゼットのNoAceJustYouのネタバレレビュー・内容・結末

クローゼット(2020年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

2023/04/25鑑賞。61点。
「神と共に」へのセルフ・オマージュ。
改心したミョンジンを見つめるギョンフンの表情が印象的。ミョンジンは自分の連れ去った子どもたちを解放するのだが、果たしてその子どもたちは元の世界で幸せに暮らせるのだろうか?
ギョンフンの表情はミョンジンに対する憐れみ・申し訳なさ・・・たくさんの負の感情が入り混じったもので、どこか【ゴーン・ベイビー・ゴーン】のラストに通じるものを感じた。

〈あらすじ・ネタバレあり〉
交通事故で妻を亡くし、男手1つで娘・イナを育てることになった建築士のサンウォンは、環境を変えようと引っ越しをする。

イナはクローゼットの中で見つけた人形を気に入り始めるが、それ以降不思議なことが起き始める。

家の中でイナの叫び声が聞こえたかと思ったら彼女は声を出していない。イナが眠っているにも関わらずヴァイオリンの音色が聞こえて来ることも。

だが、後輩の評価が社内で鰻登りだと知ったサンウォンは娘のことよりも仕事を優先しようとし、いつしかイナの存在が目障りにもなってくる。

そんな中、サンウォンがイナを家に置いて仕事に行ったある日、彼女は失踪してしまう。
サンウォンとイナの関係が良好なものではないと世間に広まったことから、彼自身がイナの失踪に関わっていると冷たい視線を浴びるようになる。

イナの失踪事件をニュースで知った退魔士・ギョンフンは、1998年以降韓国で32人の子どもが失踪している未解決事件と関連していると直感。

サンウォンを訪ねたギョンフンは、家の中で忽然と姿を消した子どもたちの失踪事件の存在と失踪直前に子どもたちの描いた絵に共通点があることを明かす。
ギョンフンの母親は祈祷師だったが、彼女は子どもたちを連れ去った悪霊に殺害されたらしい。悪霊は少女の姿をしていることまでは分かっているが、その悪霊を未だに見つけられていない状況。また、悪霊たちは生者の目を見つめるだけで死者の世界に引き込むことができて、悪霊たちから身を隠すには目を閉じるしかない。

生者と死者にはそれぞれが生活する世界があり本来は交わることがないが、2つの世界を繋ぐことも可能。喩えるなら、ラジオの周波数を合わせるような感覚。
クローゼットは、悪霊たちが生者の世界に渡るためのドアのような役割を持っていた。

ギョンフンは、子どもの霊を誘き寄せるのに必要な人形を用意し、悪霊たちを誘き出して対峙しようとする。
いつまで経っても悪霊は現れず、痺れを切らしたサンウォンはクローゼットのある部屋に向かう。

悪霊たちは姿を現し、サンウォンは目を閉じて悪霊たちから身を守る。
ギョンフンは悪霊たちのリーダー格と対決して聖剣で対抗するものの、返り討ちにあって腹を刺される。

ギョンフンを病院に搬送したサンウォンは、彼から「悪霊のリーダー格の容姿が、最初の失踪者である11歳の少女・ミョンジンだった」と聞かされる。
イナの見つけた古い人形の元々の持ち主がミョンジンだと気付いたサンウォンは、自給自足の生活で人との接触を拒むミョンジンの父親を訪ねる。

ミョンジンの父親・チョは、サンウォンがミョンジンの大切にしていた人形を持っていることに気づくと取り乱す。人形に引き寄せられてミョンジンが姿を現し、父・チョの意識を乗っ取る。
チョに襲われて首を絞められたサンウォンは、薄れ行く意識の中でチョとミョンジンの過去を覗く。

1997年のアジア通貨危機により借金を背負ったチョは妻を殺害し、娘・ミョンジンをクローゼットに監禁した後焼殺したのだ。だが、チョは自殺することができず今に至るまで生きていた。

病院から抜け出したギョンフンが駆け付け、チョからミョンジンを祓うことに成功するが、ミョンジンは父親を連れ去る。

ギョンフンは、ミョンジンに狙われた子どもたちは皆虐待されたり親から必要とされていない子どもたちばかりであると気付く。
サンウォンはその指摘を否定できなかった。

ミョンジンの過去を覗くことができたのは、彼女の波長とサンウォンの波長が合ったから。
※ラジオの周波数が一致するようなイメージ

つまりもう一度サンウォンの意識とミョウジンの意識が同じ世界を共有することができれば、ミョンジンの世界に囚われているイナを救い出すことができる。ただし踏み込む世界は死者の世界なので、もししくじればサンウォンも死者になってしまう。
ギョンフンの力を借りてミョンジンの意識と波長を合わせたサンウォンは、死者の世界に足を踏み入れる。
これによって生者の世界と死者の世界が繋がり、ミョンジンは生者の世界でサンウォンを支援するギョンフンを殺そうとするが失敗する。

サンウォンは、死者の世界で大勢の子どもたちと遊ぶイナを見つけ出す。
ミョンジンは、「全部大人が悪いんだ。すまない」と謝るサンウォンの言葉を無視して、イナに父親を殺すよう命令する。
そこに、ギョンフンによって創り出されたミョンジンの母親の幻覚が死者の世界に現れ、ミョンジンの心を救おうとする。
だがギョンフンの体力が限界になって母親の幻覚は消え、ミョンジンはまたひとりぼっちになってしまう。
サンウォンは、ミョンジンを抱きしめて謝り続ける。ミョンジンにだけ謝ってるのではなく、彼女が連れてきた子どもたち全員に。
大人として親として、ただ子どもたちに謝り続ける。

ミョンジンは改心し、彼女によって連れてこられた子どもたちは生者の世界に戻される。
サンウォンは意識を失っているイナを抱き抱えて、死者の世界から脱出する。

ギョンフンは、ミョンジンを本物の母親と引き合わせて死者の世界でもひとりぼっちにならずに生活できるようにしてやる。

ギョンフンは、ジョークで今回の仕事料として2億500万ウォンをサンウォンに請求するが、請求書を作り直せと跳ね除けられる。
イナは死者の世界での記憶を完全に失っており、サンウォンは娘との関係を見直す。

裏路地にいる1人の少年が死者の世界に招かれる映像でEND。

※ミョンジン自身が悪霊なのではなく、悪霊が彼女の憎悪を利用して肉体を得ていたことは間接的にギョンフンが説明済み。
つまりギョンフンは悪霊自体を完全に倒したのではなくミョンジンの肉体から切り離しただけなので、その悪霊がネグレクトを受ける子供を死者の世界に引き込む活動自体は半永久的に続くことを示唆するエンディング。
NoAceJustYou

NoAceJustYou