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モールスのkuuのレビュー・感想・評価

モールス(2010年製作の映画)
3.8
原作の「MORSE」《モールスは(ハヤカワ文庫NV)から〈上〉〈下〉ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト原作富永 和子翻訳出版で読めますよ》
は既に
『ぼくのエリ 200歳の少女』
ってスウェーデン映画の素晴らしいんがありやす。
そのハリウッド版やと聞きゃ、
予算かけて規模はデカくなっても、味は荒いんとちゃうか?ちゅうんかな、内容はチョイ落ちるが、満足感はある感じなんが散見される。
フレンチの繊細な料理とアメリカンビーフステーキの違いのように。
自分は繊細も、味がシッカリしてるのもどっちも嫌いじゃないが。
映画『モールス』は、
『ぼくのエリ』よりも、怖さ的に描線がハッキリしとる😀
その意味でもアメリカンビーフステーキやね。
ロスアラモスの雪が積もる早春に、QQ車に乗せられるオッサン!
何事や?
森の道をおどおどろしく走るQQ車。やっと病院に搬送ふぅ~
己でやった火傷で、お顔が分からない。
清教徒なるかな、善の人等の伝統がもたらした負の遺産、カルト教団の残党かDevil worshipersか?チャウがな。
ざわめく人達。
はじめっからヤバい空気がキンキンケロンパ🐸じゃなく、キンキン張り詰める中、ヌケ作ポリスが気をそらしてる瞬間に、男は病室の窓から死のダイブ(ダイブ死の判定は99.99)を敢行。この序説となってから~の、
話は2週間前にさかのぼり、何で謎のオッサンが顔を焼き、自死する必要があったんか。
まぁ話はアレコレして、またまた、悲劇的な結末への顛末が後で語られてく。
『ぼくのエリ』やと、一面雪に月の薄明かりで展開する血の吹雪で小便チビりそうムードをじわじわ上げ、物語上は控えめやったが、
連続猟奇殺人事件が、『モールス』じゃ物語を前へまえへと推し進める原動力になっとるかな。
2週間前、オッサンと少女はアパートに引っ越ししてくる。
突然のキュートな少女の出現に、少年オーウェンの胸はドキドキ。
信仰心の深け~母ちゃんと二人暮らし内気な少年の行動属性はかなりヤバメ系
『覗き見』
『聞き耳』なんて、へたしたら大人なら軽犯罪法違反でパクられる事間違い無し!をやりまくる。
まぁそれで、少年は少女アビーが雪の上でも裸足なことや、
獣のうなり声みたいなのを知るんやけど。
孤独の近づきがたいオーラを纏い裸足の似合う彼女は!
嗚呼、云わずと知れた『キック・アス』オシャマなバトル少女から一転、クロエ・グレース・モレッツが演じとる。
『VANP(vampire)』がメチャクチャ似合ってる。
少年オーウェンは当たり前田のクラッカー、惹かれてよるわなぁ。
アビーはよくオーウェンの背後に音もなく現れる。
オーウェンがゴルゴ13なら即殺されてるやろけど。
何の話か分からんようになってきた。原作の話になるけど、墜落死したはずのオッサンは顔がグチャグチャなまま蘇り、森に逃げて町全体をパニックに陥れる。
その上、まるでイカれた性欲マシーンみたいにエリ(モールスじゃアビー役)に襲いかかるロリータ。
実は少年やったエリの不鮮明な『性転換』の秘密があり、
それがVANP の血の『感染』に由来するんか、オッサンの少年へのロリコンに由来するんか、さらなる深みにはまってゆく。
そう云う揺らぎ、両性具有的な面白さは、『ぼくのエリ』は色濃く出てた。せやこっちの少年オスカー(『モールス」ではオーウェンの役)はきわめて女の子女のこしてるって云うか、
浅黒いエリに比較して、少年の北欧的な乳白の柔肌は淡い光を受けてまるで少女を撮るような倒錯性すらまとっていたんやから(アルビノ)。
映画『モールス』でも、少年オーウェンは友達のガキに『おぃ女の子』ってイラわれよるが、
アビーは彼を『イテまえ!シバき返されたら、私が手伝う』って男っぽく云うんやけど、
『性差』の揺らぎには深くはいっていいひん。
『私は女の子ちゃう』ってアビーが云っても性器まで関心を向けへん。(微妙なリアクションはあるけど)、私はノーマルの人間ちゃう、ってとこに全て収めとる感じ。
アビー役をクロエ・モレッツに託す以上、突っこみの脆弱さは、仕方のない選択やろ。
スゴいんは、クロエ・モレッツの天才がこれを『弱さ』に留めてへん。
流し目の微笑みや背後からの忍びこみ、一瞬の隙を突いたキスの優しさでオーウェンをメロメロにするアビー。そのVANP風の姿、老齢の姿、加えてセピア写真を見てショックを受けた少年の何とも云えない拒絶的な態度に、少女は、上目遣いにワナナきながら額や目や鼻から血をプーって。
少年に抱かれたクロエ扮するアビーのアップショットは、まるで聖女のような神々しさ。
云い過ぎかな?
邪と聖の混交。
この間の揺らぎが、血みどろのクライマックスを経てエンディングに向かう。
エグい描写やのに、観ててなんか敬虔な気持ちになったかな。
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