記録。
親鳥となって導く大空。
こんなに壮大で素敵な物語が実話ベースだなんて驚き。この世界もまだまだ捨てたもんじゃないなって思わせてくれる。
絶滅の危機に瀕した渡り鳥(雁)を救うべく、卵を孵し、安全な飛行ルートを教える。そんなプロジェクトに取り組む別居中の父親クリスチャンの元に滞在することになった、今時の息子トマ。離れていた2人の心を近づけたのは孵化した雛鳥だった…
刷り込みって言うんでしたっけ?鳥って生まれて初めて見たものを親と認識するってのは有名な話。ゲームにご執心でWi-Fiも繋がらない事に不満げなトマも、「親」になる事で心の成長を遂げていく。
渡り鳥と共に空を飛ぶ。これは紛れもない冒険だ。そしてフィクションにおいて冒険とは少年の特権だ。勢いにのってトマは前代未聞の冒険の旅へ出る。
もうハラハラしつつ、何もかもが美しいんですよ。陸、海、空。トマと並んで羽ばたく「子供」たち。冷たく澄んだ空気を纏う感覚。
空と陸。物理的に果てしなく離れていくごとにむしろ強まる親子の思いと絆は、仮に家庭で側にいた前提でのそれとは明らかに違ったものなのだろう。
「子はかすがい」なんてよく言うけど、どうやら子供が鳥であっても成立する模様。爽やかな感動をくれる作品でした。