このレビューはネタバレを含みます
グラッツェル一家の息子に取り憑いた悪魔を祓う為に訪れたウォーレン夫婦は、カトリック教の司祭と共に強力な悪魔と戦う。
業を煮やしたアーニーは、デヴィッドに取り憑いた悪魔を自らに憑依させ、一旦の平穏を迎えた。
しかし重症を負い病院へ入院しているエドの元に、恐ろしい出来事が告げられるのだった…。
感想。
“The Conjuring”の3作目ですが、スピン・オフ作品を含めると全8作品あり、"死霊館ユニバース"シリーズ本編作品待望の3作目ですが、公開予定作品が2作も待機しているワクワク感が止まらない人気シリーズ。
プロセスは同じながらアプローチを変えて毎作品楽しませてくれ、もはやTVドラマ・シリーズの1話として続けて鑑賞できるほど、しっかりとコンセプトを守ってキャスティングも続投しているホラー映画シリーズでは1番大好きな作品です。
今回は"悪魔裁判"がテーマ。
頑なに"悪魔の憑依"が事件となった証拠という荒唐無稽な話を信用させろと意気込む弁護士が、次のシーンではガタガタと震えながら裁判官へ一言「悪魔の憑依が原因です」。
王道のネタでありながら笑わせてくれます(笑)いいですよね、アメリカ映画のこういったノリは。
"悪魔裁判"を立証するプロセスなので裁判劇かと思いきや、しっかりと"死霊館"のプロセスを守りながらアプローチを変えており、ハラハラ感が小気味よく心臓を締め付けます。
相変わらずの小道具がホラー映画として良く、魔女の儀式に使う禍々しいオブジェや、もはや荘厳にすら見える悪魔祭壇など、雰囲気バッチリで悪魔に興味を惹かれ傾倒する気持ちすら分かってしまいそうになるほど。
オカルト好きにはワクワク感がハンパない。
明暗クッキリで深みのある色彩のフィルムを、スタイリッシュな映像と照明効果で迫力ある映像センスが素敵。
非現実的な悪魔との遭遇が、照明効果を交えて突然現れたり、影となって浮かび上がったりと、オカルト映画として効果的に演出。
ロレインが時間軸をズラしたかのように逃げ惑う坑道シーンがスタイリッシュ。
そして今作品でもしっかりとコンセプトとして守られている"愛"の力。
わざとらしくないシンプルな表現ながらも、オカルト映画に"神"へすがり救済を願う人々ではない、人間の持ち得る最強の力として描かれる"愛"が、美しく描かれているのが好きです。
ホラー映画といえばバッドエンドですが、こういったプロットでの演出なのに臭くないのは素晴らしい。
悪魔を召喚して得た力の顛末が、寓話的にその身に戻るおぞましさ。
悪いことはしちゃダメなのよという、子供へのメッセージとしても見せられる安心感。
善良な青年アーニーは、"愛"の力によって極刑を免れて"愛"を貫き通しましたとさ…パチパチ。
よいエンディングです。
さらに強くなる夫婦の"愛"の絆でウォーレン夫婦も強くなってゆくのです。
そしてまたウォーレン夫婦の倉庫には新しい禍々しい遺物が増えるのでした。
ラストでは悪魔祓いの音声と、事件写真が登場。
この恐ろしい出来事が実話をベースにしているというのが、毎回作品へのオカルト的興味を掻き立てられる憎い演出であります。
果たしてそれは"事実"だったのでしょうか…。
そう考えるとより恐怖を感じてしまいます。
3作目でもブレない作品に、5点を付けさせていただきました!!
ヴェラ・ファーミガとパトリック・ウィルソンのウォーレン夫婦がピッタリで、安心して観れる"愛"の力で起こす悪魔祓いの物語。
次作にも期待大でございます!!