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モロッコ、彼女たちの朝のkazu1961のレビュー・感想・評価

モロッコ、彼女たちの朝(2019年製作の映画)
3.9
🔸Film Diary🔸
▪️本年鑑賞数 :2022-083
▪️死ぬまでに観たい映画1001本-※※※

🖋本作は日本初のモロッコ映画劇場公開作品となった作品です。いわゆる珠玉の良作と言ったところでしょうか。全編モロッコの独特な空気感の中で描かれるフェミニズム、夫を亡くして心を閉ざしている女性アブラとモロッコではタブーの未婚の妊婦サミア、共に問題を抱え閉塞感を持った2人がお互い寄り添いながら少しづつ人生を切り開いていく様を繊細に描いている素敵な作品です。

🖋そんな2人の心情をとても少ない台詞と表情のクローズアップ(瞳の揺らぎなど)で表現していく演出は、そのまま閉塞感を持った2人の心情が観るのもに伝わってきます。そしてそのクローズアップに耐えうる表情の演技を魅せてくれるアブラのルブナ・アザバルとサミアのニスリン・エラディの存在感が凄いです!!

🖋そして舞台となるパン屋を通して、モロッコの伝統的なパンや焼き菓子、幾何学模様が美しいインテリアやアラビア音楽が誘う異国情緒とともに、普段目にすることがないモロッコの市井の人達の何気ない日常と風景、その光の強弱がまた作品に素晴らしいアクセントとなっています。モロッコの印象は、サハラ砂漠の星空やシャウエンの青い世界などが有名なだけにこの市井の猥雑さは帰って印象的でした。

🖋監督はマリヤム・トゥザニ。家父長制の根強いモロッコ社会で女性たちが直面する困難と連帯を、素朴なパン屋の日常に浮かび上がらせたその手法は素晴らしく思います。美しい映像とは裏腹に不当な扱いや差別・偏見に抗って懸命に生きる2人の姿に応援したくなります。そして極め付けのラスト、サミアの選んだ選択は。。。原題の“Adam”の意味がわかった時すこし鳥肌が立ちました。そしめ第92回アカデミー賞国際長編映画賞のモロッコ代表作品に選ばれたんですね。

😢Story:(参考:公式サイト )
臨月のお腹を抱えてカサブランカの路地をさまようサミア。イスラーム社会では未婚の母はタブー。美容師の仕事も住まいも失った。ある晩、路上で眠るサミアを家に招き入れたのは、小さなパン屋を営むアブラだった。アブラは夫の死後、幼い娘のワルダとの生活を守るために、心を閉ざして働き続けてきた。パン作りが得意でおしゃれ好きなサミアの登場は、孤独だった親子の生活に光をもたらす。商売は波に乗り、町中が祭りの興奮に包まれたある日、サミアに陣痛が始まった。生まれ来る子の幸せを願い、養子に出すと覚悟していた彼女だが……。

🔸Database🔸
・邦題 :『モロッコ、彼女たちの朝』
・原題 :『Adam』
・製作国 : モロッコ・フランス・ベルギー
・初公開 : 2019
・日本公開 : 2021/08/19
・上映時間 : 101分
・受賞 : ※※※
・監督 : マリヤム・トゥザニ
・脚本 : マリヤム・トゥザニ
・原作 : ※※※
・撮影 : ヴィルジニー・スルデー
・音楽 :
・出演 : ルブナ・アザバル、ニスリン・エラディ

🔸Overview (参考:映画. com)🔸
地中海に面する北アフリカの国モロッコを舞台に、それぞれ孤独を抱える2人の女性がパン作りを通して心を通わせていく姿を、豊かな色彩と光で描いたヒューマンドラマ。これが長編デビュー作となるマリヤム・トゥザニ監督が、過去に家族で世話をした未婚の妊婦との想い出をもとに撮りあげた。臨月のお腹を抱えてカサブランカの路地をさまようサミア。イスラーム社会では未婚の母はタブーとされ、美容師の仕事も住居も失ってしまった。ある日、彼女は小さなパン屋を営むアブラと出会い、彼女の家に招き入れられる。アブラは夫を事故で亡くし、幼い娘との生活を守るため心を閉ざして働き続けていた。パン作りが得意でおしゃれなサミアの存在は、孤独だった母子の日々に光を灯す。アブラ役に「灼熱の魂」のルブナ・アザバル。
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