愛鳥家ハチ

マーベルズの愛鳥家ハチのレビュー・感想・評価

マーベルズ(2023年製作の映画)
3.8
ジャパンプレミア試写会にて鑑賞。前作『キャプテン・マーベル』の予習は必須。本作では、太陽のように輝く女性達がチームの絆を育みながら縦横無尽に大活躍する様を目撃できます。まさに"最強"チームでした。

ーー奥行き
"元始、女性は太陽であった"とはかつて女性のために闘った平塚らいてうの言葉ですが、鑑賞後、ふとそんな言葉を想起しました(確かブリー・ラーソンは現実社会で男性からの偏見と闘っていたはずであり、平塚らいてうに重なります)。また、一般的に太陽は生命を優しく包み込み、生命の存続を助けてくれますが、他方、その灼熱のエネルギーは人を傷つけることもあり得ます。太陽のような圧倒的な光には影もある。"善い"行いとは何か? 正義のための行動とは何か? 観る者に問いかけてくれたように思います。前作同様に単純な善悪の二項対立にとどまらない構成が本作に奥行きを与えています。

ーー高く、遠く、速く
"Higher (より高く)"、"Further (より遠くへ)"、"Faster (より速く)"という前作からの合言葉ですが、本作の制作・製作にあたってのコア・バリューになっているのではないかと想像しています。「より高い」クオリティを目指し、「より遠く」のグローバルな人々に本作を届けようとする作り手の想いが感じられるためです。上映時間が90分程にまとまっていることから、「より速い」展開も楽しめます。キャプテン・マーベル、モニカ・ランボー、ミズ・マーベル の3人が瞬時に入れ替わる設定は、スピード感の向上をもたらしてくれていました。

ーー総評
主人公が複数人いることで、一粒で何倍も美味しいのも本作の魅力です。加えて、(猫の見た目ならば少しばかり触手が生えてきてもよいと思える程度の)猫好きの皆様にとっては、本作は眼福だと思います。総じて劇場で観る体験的価値の高い一作であり、MCUやマーベルの新たな可能性を切り拓く作品であるともいえるでしょう。
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