ちこちゃん

ファーザーのちこちゃんのレビュー・感想・評価

ファーザー(2020年製作の映画)
4.0
アンソニーホプキンスのアルツハイマー患者としての記憶をベースに映画が語られる。なので、彼が認識した記憶、信じている事実と本当に起こった事実が入り混じって映画が進むので、わかりにくい。何が真実だったのかというのは、最後になるまでわからない。

アンソニーホプキンス 83歳、この役をどのような思いで演ずることを決心したのだろうか。彼も十分アルツハイマーになってもおかしくない年であり、未だ完治する薬がないこの病にかかる不安をいだきなから、役のオファーを受けたというのは大変勇気のあることである。

幻覚、うつ病、記憶ができない、記憶が違っている、人を疑う、盗まれたと思う、人に怒る、これらは典型的なアルツハイマーの症状である。これらの症状と進んでいく病状をアンソニーホプキンスは演ずる。素晴らしい役者である。

映画そのものは、見ていてつらい。もちろんすべてのアルツハイマーの患者がおなじような症状を発症するとは限らない。記憶を失っていきつつも、もっと穏やかに生活する人もいる。しかし、自分がどのような症状になるかを知ることはできないし、発症しているときは、そのことを自覚することはできなくなる。そう思うとつらい。辛いという記憶すら失うというのであれば、それも良いと考えるしかないのか。
そしてこの映画のように、この病気の一番の問題は、家族に負担をかけることである。

映画としては、アルツハイマー患者の事実と虚構が入り混じってストーリーが進むことが一番効果的であったのか疑問が残る。ただ、アンソニーホプキンスの名演技を見るための映画であるとはいえる
ちこちゃん

ちこちゃん