B5版

RUN/ランのB5版のレビュー・感想・評価

RUN/ラン(2020年製作の映画)
3.5
着々と明るみになっていく"母の愛"に、心臓が凍りつく。

RUN(英):走る、逃げる、獲物を追い掛け回す、落ちる、続くと言う意味も。

一つの言葉に対する本編に掛かった意味が巧すぎる。
前作『search』に続き、無駄のない伏線の仕掛け方。技巧派の監督。

主人公はさまざまな生涯を待ちながら前途に希望を持つ明るく母親思いの少女。
小さい頃から主人公を献身的に支えてサポートしてきた母。
娘の大学進学を前に、何も問題は無さそうな二人だったが…
主人公がスマホを持たず、家族以外の誰ともほぼ接触させない生活を送っている様子から、物語には徐々に不穏の種が芽生え始める。
隣人として"在る"かもしれない人間。内に秘めた狂気が光る作品ですね。

毒親(で済まないが)の脅迫と懇願の常套句のその演技のリアリティには眩暈がしたのですか、後半の種明かしが親切すぎるのはちょっとアレかな。
ラストで育ての親ありてこの子供!となりました。
超特級呪物の女が己の自己愛への貢物にし続けた少女から向けられる怨念じみた狂気のリレー。ほんと無駄のない題名。
これも愛。あれも愛。たぶん愛。きっと愛(ゾツとしながら)
B5版

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