ペコリンゴ

MISS ミス・フランスになりたい!のペコリンゴのレビュー・感想・評価

4.1
記録。
「他人に自分の価値を決めさせるな」

何処となくコメディっぽい邦題にフィルマのジャンル分けもコメディ…。いや、本作は夢と自分自身に対峙する若者の姿を描く良質な人間ドラマですよ。

将来の夢はミス・フランスになること。
そう発表する幼少期のアレックス。クラスメイトからは冷やかしの嵐が巻き起こる。何故ならアレックスは男の子だから…。
両親の事故死を経験し、大人へと成長したアレックスは家族同然の下宿先の人々に囲まれながらも鬱屈とした日々を送っていた。そんなある日、プロボクサーになる夢を叶えた幼馴染に再会した彼の中で何かが変わり始めていく…。

男性であることを隠してミスコンに挑戦する、ざっくり作品の内容を要約するとそんな感じ。

いわゆるLGBTQ映画にカテゴライズされるんだろうけど、多様性を声高に叫ぶメッセージに終始するではなく、ストレートに「自分らしさ」を探究するドラマは非常に観やすかったです。

恐らくそう感じさせる要因と思うのが、本作って主人公アレックスを明確なトランスジェンダーとは描いてないんですよね。これは監督の意向みたい。

そこに対する批判もあるようですが、そういうの個人的には面倒臭ぇなって思っちゃう。逆にフラットじゃないなって。センシティブになり過ぎるとそれこそ腫れ物に触るような感じになっちゃいませんかね。

脱線しましたが、ミス・フランス実行委員会との提携の元、煌びやかな衣装に身を纏ったと思いきや、苛む孤独や後押しする存在によって殻を破っていく様が丁寧に描かれてますし、登場人物も魅力的。

どうか色眼鏡で見ることなく、オススメしたい作品でした。