great兄やん

DAU. 退行のgreat兄やんのレビュー・感想・評価

DAU. 退行(2020年製作の映画)
4.1
【一言で言うと】
「悪夢の“逝去”」

[あらすじ]
ソビエト連邦の某所にある秘密研究所では、年老いた天才科学者レフ・ランダウのもとで、科学者たちが超人を作る奇妙な実験を行なっている。そこではすでに全体主義社会の理想が崩れはじめ、西欧文化が流入することによって、かつて厳しく管理されていた人々の風紀は乱れていた。上層部は研究所の腐敗を正すために、KGBのウラジーミル・アジッポを送り込む...。

前作『DAU.ナターシャ』で散々な目に遭ったのにも関わらず結局続編を観てしまうというね😅...

しかも上映時間が369分というドチャクソ長尺の上に、鑑賞料金は3600円とメチャクチャ強気な値段設定で、これでつまんなかったらマジで激オコだかんな!!o(`ω´ )o...ってな感じで臨みましたが、結論から言うと予想してたよりも何十倍も面白かった。

というか、こういうのを俺は観たかったし待ってたんですよ!!(*≧∀≦*)

6時間以上の鑑賞にも関わらず睡魔は一切来なかったですし、それ以上に6時間という潤沢な時間をかけて壮大なプロジェクトの全貌を描いていたので、そういった点では前作はまさに“序章”といった立ち位置だったんでしょうね🤔

全体の世界観としては、『DAU.ナターシャ』が“1”ならば今作はその隠された“99”が露わになるといった感じ。
食堂はもちろんのこと研究所の施設内、それにプロジェクトの名称“DAU”の由来、レフ・ランダウの住居内など、小さな視点から壮大な視点へと切り替わった世界観に興味を抱かざるを得なかったです😌

それにストーリーもソ連全体主義の恐ろしさを体感できて面白さと共に
(リアルにこんな感じだったんだろな…😰)
といった恐怖も感じましたし、冒頭で語ってた学者の論説が後半“皮肉”として効きまくった展開には思わずなるほどな…って唸るほどでしたね。

まぁ相変わらず酒でドンチャン騒ぎするシーンや生々しいセックスシーンもあったりしますが😅...それだけではない共産主義内における“腐敗”、そして理想の“退行”を緩やかにも強烈に描き切った、“圧巻の黙示録”とも言うべき凄まじい映画でした。

世界観、それに狂気、全てが前作を優に上回るまさに“渾身”の一作。
実際に元KGBだったウラジミール・アジッポの“恐怖”を体現したかのような演技だったり、今作から初登場であるマクシムのキャラだったりがもう最狂クラスの恐ろしさ😨

しかもマクシムを演じた人(故人)はリアルガチのネオナチという事実...いやマジで、本当にとんでもないっスよこれは(゚o゚;;...

豚のシーンよりもその経歴に一番ビックリだわ!!(^◇^;)