すいか

スペシャルズ! 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話のすいかのレビュー・感想・評価

4.2
2本目・スペシャルズ!(サブタイトル略)

他では入所を断られるような重度の自閉症児が、グループホーム形式で、支援スタッフの援助を受けながら共同生活を送る施設。そこに政府の監査が入った。無資格の支援員たちの存在、厳しい経営状態…問題が次々に指摘され、施設の存続が危ぶまれる事態に。

過激にドラマチックにすることなく、この施設を経営するブリュノと、自閉症児たち、その家族、支援員との関わりが丁寧に描かれていてとてもよかった。自傷癖や、暴力行為のために鍵付きの閉鎖病棟に収容され、社会と関わりを持てなくなっていく重度自閉症児たちの受け皿として存在してきた施設の重要性が伝わってくる。そして、根気強く子供たちに向き合い、常に子供たちのことを中心に考えて行動するブリュノの姿には、心打たれた。
もう1つの重要な側面として、この施設で働く支援員の役目を社会にうまく溶け込めずに生きてきた若者たちが担っているということが挙げられるだろう。支援員と自閉症児の関わりとして特に詳細に描かれていたディランとラディアンの関係性の変化も見どころだ。

ブリュノ役のヴァンサン・カッセルは、なんとなくセクシーな大人の男性、イケオジ的なイメージだったが、本作ではそのようなオーラを一切出していない。インタビューで、ヴァンサンは、ブリュノのモデルとなったステファン・べナムに会った感想として「彼に会って一番感じたのは謙虚さ。すごく繊細で、慎み深い、相手のことを思いやることができる人。」と、答えている。本作ではまさにその人柄が滲み出るような演技をしていて、本当にすごいと思った。
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