すいか

くじらびとのすいかのレビュー・感想・評価

くじらびと(2021年製作の映画)
4.6
クジラと共に生きる、インドネシアの小さな村を映したドキュメンタリー映画。
小さなエンジンがついただけの10人程度が乗れる小型船で獲れるのは、マンタやマンボウ、ジンベイザメ…しかもそれらをモリで仕留めるのだ。時に命をも落とす危険な漁である。先頭切って獲物にモリを打ち込む漁師の花形である「ラマファ」と呼ばれる人々、伝統的な方法で船を造る「アタモラ」と呼ばれる人々。村には古くからそういった役割を担う者達がいる。代々受け継がれてきた伝統的な方法で漁を行い、獲れた魚を糧に、村人は日々自給自足の生活を送っている。

そんな生活で必要不可欠な、唯一無二の存在がクジラである。年間10頭も獲れれば、約1500人の村人が1年は食べていけるのだそうだ。

見どころは、なんといってもクジラ漁のシーンだろう。
穏やかなエメラルドブルーの海に溶けるクジラの真っ赤な血液。泡立つ白い波。必死で逃げようともがくクジラと、傷ついたクジラを助けるために寄り添う仲間のクジラの姿。代々受け継がれてきたしきたりを守ってクジラを敬い、大切に扱う村人の営み。どれも「生きている」ということをダイレクトに伝えてくるような、圧倒的な映像だった。

本当に観てよかった。

11本目
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