とりん

ミッドサマー ディレクターズカット版のとりんのレビュー・感想・評価

3.6
2020年15本目(映画館7本目)

ヘレディタリー/継承で話題となったアリ・アスター監督の最新作。
公開する前からSNS界隈ではトラウマ級と噂されていたし、公開後もなにかと騒がれていた作品。
今回初見でディレクターズカット版を鑑賞
170分という長尺であるが、集中切らさず見ることができた。
むしろそこまで長いとすら感じなかった。
それほど映像に引き込まれていた。

ストーリーとしては両親と妹を失ったダニーが傷心の中、恋人クリスチャンと一緒に友達の故郷であるスウェーデンの奥地の村へと行き、そこで行われる特別な夏至の儀式を目の当たりにするお話。
全体的に話としては意味がわからないというか、普通というべきか、異様な儀式に目の当たりにして巻き込まれていくダニーやクリスチャンと追体験していくかのよう。
なんとなくこう来ると読めるし、最後の展開もなんとなくは読めていた。
だからその辺はそこまでではなくて、むしろこのレベルの映画を一切手を緩めずやり切るところが良い。

側から見るとカルト教団にも思えるこの村だけど、この村の人たちはこれが古来からの伝統として行っており、それが今の自分たちの生活などを作り上げていると信じている。
R18になっただけあって、エログロシーンはガッツリ見せてくる。
まぁそこだけで指定が上がったのだろうけど、そもそも精神的にマヒさせる可能性があるからこそのR指定だとは思う。
祝祭か狂気か、それは観ている人によって捉え方が違う。

スウェーデンの奥地の風景を映し出し、異様なことが繰り広げられながらも映像はどこまでも美しい。
この村にたどり着くまでに‪1時‬間くらいあるし、長回しや奇妙なカット割りもあるけれど、どこにも無駄なシーンなんてなく、全てが意味あるように思える。
この光景から目をそらしてはいけない、そらせないと感じさせる。
そこが監督の思うツボであろう。

ヘレディタリーも劇場で観たが、あまりハマらなかった。
今作はその数倍こちらの方が劇場で観る価値があった。
その吸い込まれるような映像と音楽だけで魅了される。
とりん

とりん