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Swallow/スワロウのskkのネタバレレビュー・内容・結末

Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

なんとなく雰囲気がRAWを思い出させるな、と少し気になっていた作品

とはいえ、内容としては決して似てはいないですね
おそらく超絶establishmentな夫と結婚した妻が主人公ですが、夫及び夫側の父母は上流階級然としたスマートさを表面上装いつつ、その実主人公に対して無理解なやつらとして描かれます それにしても義母のアドバイスのいけ好かないことといったら!何が自己啓発書にジュース療法やねん、と内心失笑してしまいました(他方で、無理解とはいえ何か彼らなりに主人公の状況を考えて行動しようとしているフシも有るんですよね そこのすれ違いっぷりがまた辛いですが)
こうした周りの雰囲気との齟齬や自分の中の負い目といったことから徐々に精神の安定を崩していき、ビー玉から始まり電池やら画鋲、果てはドライバーといった異食症に陥っていく様子が端的に描かれています この徐々に追い詰められていく描写が非常にいたたまれなくなる描写でけっこう精神にこたえるものがあります

ついに我慢の限界を超えて家から脱走した後、主人公は自身が縛られていた事象の鎖を断ち切って解放に向かっていくわけですが、ここでの主人公は夫といた際のおずおずとした様子もなく強かに描写されます
ラストシーン直前の選択ははっきり描写されていないものの、恐らく堕胎なのでしょう 現代社会における抑圧からの女性の解放、というのが大きなテーマの一つとしてあるだと思うのですが、「解放」というのは口でいうほど生易しいものではないな、と感じました
その戦場だった女子トイレの長回しのままエンドロールが流れるのは非常に斬新なアイデアだと思いました(最初、↑で放置された状況を発見して途中で大パニックになるのかと思ってましたが…)

内容そのものもなかなか良いですが、全編に渡って映像がとても美しいですね 異食のシーンもフェティッシュさも垣間見えつつ幻想的な描かれ方をしていて印象的 
あと特筆すべきは作中人物のファッションですね どのシーンの衣装も非常に素晴らしいです(特に主人公、なお徐々に主人公の服装の色彩がモノトーンに寄っていったのは主人公の心情の変化を反映しているのでしょうか?ちょっと自信ないですが…)

万人に勧められるかというと全くそんなことはないですが、なかなかに見応えがあり考察しがいのある映画でした 見れてよかったです
(ちなみに私、氷はわりと食べてしまうんですけど、これって普通じゃないのかな…)
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