「断捨離」
捨てるべき物。捨てられない物。捨ててはならない物。
「バッド・ジーニアス」に次ぐ、タイ映画2作目の鑑賞。なかなかの秀作でした。
北欧でミニマルなライフスタイルを学んだジーンは帰国後、実家のビルをデザイン事務所に改装しようとする。
ジーンは家中の物という物をジャンジャン捨てていく。
潔が良くて気持ちがいい。
ところが親友が、愛情込めて送った音楽CDまで真っ黒いゴミ袋の中に。
タチの悪いことにジーンは、そのプレゼントのことすら覚えてない。
それどころか、友人から借りたものすら返してない始末。
切り捨てたのは、物だけでは無かった。元カレとの関係も切り捨てていた。
身勝手だった自身の過去を思い返し、そこから真っ黒いゴミ袋の中身をもう一度見直すことに。
過去と対峙するうちに、ジーンの心の中にある葛藤が浮かび上がってくる。
元カレへの罪悪感、家族を捨てた父への愛憎…
ジーンを赦す優しい元カレと優しい新しいカノジョ。ジーンの自然体な言動が静かな波をたてる。
父の残したピアノを巡る、母との対立は見ていて辛かった。
どちらの気持ちも理解できるから。
身勝手なジーンだけど、何故か憎めない。寄り添う兄が優しい。
忘れるべき人。忘れられない人。忘れてはならない人。
「断捨離」は難しい。