銀色のファクシミリ

VIDEOPHOBIAの銀色のファクシミリのレビュー・感想・評価

VIDEOPHOBIA(2019年製作の映画)
3.7
『#VIDEOPHOBIA』(2020/日)
劇場にて。主人公に起きたある事件を主軸としながら、散文的なあれこれが並べられた88分は、最後にその全てが「存在すること、認識すること」を描いていたのだと気づかされる。テーマがわかると88分の厚みが分かる。そういう映画でした。

タイトル「VIDEOPHOBIA(ビデオ恐怖症)」の名前のとおり、ある映像に恐怖する女性が主人公。彼女の不安や動揺は当然なのですが、その恐怖の正体を深く描いていく。映像そのもの、映像を見る誰か、そして不特定多数の誰か。そして過去の彼女、今の彼女。

主人公の最後の決断は、彼女の言葉では語られないのですが、自分は商店街でのアルバイトの場面がその決心の瞬間だったのではないかと思っています。この時に自分はどう見られているのか、彼女はそのことに活路を見出した。最後の彼女の状況は「ベストにかなり近いベター」かなあと感じました。

自分をどう規定するのか。自身の認識、自身の見た目。でもそれ以上に周囲の人々の認識。序盤に主人公が東京のオススメ宿泊場所を聞かれた時に、「住んでたのは神奈川だから」と答え、聞いた人が「東京も神奈川も同じだ」と答えたのが、意外に重要なのかもしれないと思いました。感想オシマイ。